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なぜ自社の1on1はうまくいかないのか? 機能するためのステップをお伝えします

「1on1を導入したけれどうまくいかない。それどころか現場から不満が続出している」なぜこのようなことが起こるのでしょうか。ただ1on1を導入しただけでは絶対にうまくいきません。どうしてうまく機能しないのか、機能させるためにはどうすればよいかをご紹介していきます。


-------- 目 次 ----------------------------------------

・1on1がうまく機能しない3大理由
・よくある1on1の失敗パターン
・導入~定着、機能化するための6つのステップ
・まとめ

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■1on1がうまく機能しない3大理由

会社ごとに細かい理由は存在していますが、詳しく話を聴いているとおおよそ3つの理由に大別できます。まずはその3大理由をご紹介します。

 

(1)目的が明確になっていない

 なぜ1on1を導入するのですか? この質問に即答できなければ、この理由が大きいかもしれません。1on1に限らずですが、新たなことを導入する際には、導入することを目的としてしまい、一番大切な導入目的が軽易になることがあります。導入目的が、あいまいになると、納得感もなくなり形骸化しやすくなります。また導入側(人事側が多い)は目的がはっきりしているが、現場サイドは目的がはっきりしていない場合もやはり機能化は難しくなります。

(2)やり方やタイミングが現場状況と合致していない

 1on1は少なからず時間が必要になります。だからこそ今まで1on1など上司と部下の対話の時間をとっていなければ1on1の時間を業務内に組み込むことが難しくなります。画一的な方法を導入しても、自社にマッチせずに機能化しないことが多いです。 

(3)メリットを感じない

 とりあえず1on1はやってみたものの、効用を現場が感じなければ形骸化してしまいます。

ただでさえ忙しい現場には、メリットを感じない無駄なことはやりません。逆にメリットを感じれば、進んで取り入れるようになり、1on1が機能するようになります。

 

■よくある1on1の失敗パターン5選

(1)やらされ1on1

 一か月に一度、1on1を実施して、報告しないといけないからやっている。やらされているので、効果が出ずに時間だけが消費されていくパターン

 

(2)目的・やり方不明1on1

 明確な目的がないままやっているため、管理者側が何を話してよいかわからず、管理者もメンバーも時間の無駄と感じる。やり方も不明なため、我流も生まれてしまうパターン

 

(3)やっているふり1on1

 管理者が日々メンバーとコミュニケーションを取れていると思っているので、メンバーに「ウチはやっているよね」と合意を取っている。実施報告が上がってくるもののやっていないパターン

 

(4)独りよがり・説教的1on1

 メンバーの話を傾聴するといいながらも、話が進むと、管理職が話すことが増えてしまう。結果として、説教や業務指示が中心となる。メンバーの心理的負担になってしまうパターン

 

(5)業務との天秤・なし崩し1on1

 月一回の設定をしているが、管理者、メンバーともに忙しく、日程が合わないことの繰り返しが生じてしまいなし崩しになる。多忙を理由に制度だけが存在しているパターン

 

■導入~定着、機能化するための6つのステップ

ここまで、なぜ1on1が機能化しないのか。そしてよくある失敗パターンをご紹介してきました。最後にこれらのうまくいかない理由を押さえ、機能化させるためには導入からどのような設計をしていけばよいのかをご紹介していきます。もしすでに導入している場合は、できていなかった、徹底できていなかった箇所を今からでも取り入れてみてください。 

ステップ1 導入準備

1on1を導入するにあたって、会社の状況や現場状況を捉え、本当に1on1が必要かどうかを考えていくことが必要になります。1on1は現状をよりよくするための一つの方法でしかありませんので、把握して思案した結果、1on1ではない打ち手となることも起こりえます。

1on1が必要となれば、現場にも人材育成における全社課題を共有するとともに、1on1導入の目的を共有してください。

 

ステップ2 1on1の現場最適

導入の準備が終われば、次は1on1を自社に合った形で最適化をする必要があります。今の現場にフィットさせるタイミングや、そのために必要なスキルの習得が求めれてきます。制度的な側面と、マネージャーとしてのマインドセット、スキル的な側面の設計、ブラッシュアップが必要です。

 

ステップ3 実践

目的共有、スキルの習得が終わればようやく実践です。1on1は可能な限り、二人で行える環境を整え実践してください。導入準備の際に、1on1を行うことに納得がいっていないと実践しない方も出てきてしまいます。やる立場の方はまずはやってみるスタンスでえいやとやってみてください。

 

ステップ4 実践後の振り返り

実践したのちは、当然ですが振り返りが必要です。ここで一番のポイントは振り返りの内容です。特に日本人は「できていないこと」と「その原因」を振り返ることを得意としています。しかし、できなかったこと・その原因を振り返ることと同様に、「できたこと」と「その要因」を振り返ることが非常に重要です。できたこと・その要因を把握することができれば、再現性につながります。また、モチベーションアップにもつながるからです。

 

ステップ5 管理者間(実践者)での振り返りの共有

ステップ4で振り返った内容を、管理者間で共有することで、お互いに気付きを与えあい、組織としてナレッジを貯めていくことが重要になります。やっていることが、認められていくことで、新たな行動を取ることへの違和感を払拭していきます。

 

ステップ6 定点観測(最終)

上記ステップ3~ステップ5をサイクルのように回していくことで、行動の定着を図ります。振り返りの中で、方向性がぶれてきたり、メリットを感じなくなったりする場合は、ステップ1,2を再度行っていくことで、当たり前の行動として定着させていきます。

  以上6ステップを流していくことで、1on1を機能するようになってきます。

 

■まとめ

いかがだったでしょうか。

ただ1on1を導入しても意味がないどころか、現場のエンゲージメントが下がってしまうこともあるので、導入時には上記を意識して取り組んでみてはいかがでしょうか。もしすでに導入しているのであれば、6ステップに照らし合わせて、できている点、できていない点を整理し、仕切り直していくことで、意味のある施策になります。

 

今回は触れることができませんでしたが、1on1ひいては、メンバーの可能性を引き出しパフォーマンスを高めるマネジメント行動をマネージャーが取れるようにするためには、マネージャーの役割認識を改めることが重要になります。最後にこのマネージャーの役割認識をお伝えします。

マネージャーの責任は「自部門の業績成果を上げ続けること」

では、業績成果を上げ続けるには?

メンバーを育てることが必須。

つまり

「メンバー育成は本来業務である」という役割認識が必要になります。この認識を持つことで、メンバーを育てるためにはどうすればよいかを考え始めます。考え始めると、1on1をうまく活用しようとしたり、メンバーを知ろうとする工夫が始まります。

 ぜひ、1on1の機能化を狙うとともに、マネージャーの役割認識を改めて見つめ直し、さらなる業績拡大につなげてください。

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