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野心を持つための「妄想のすすめ」

林真理子の『野心のすすめ』(2013,講談社現代新書)の中に、「野心が車の前輪だとすると、努力は後輪」(同p.31)という言葉が出て来る。「自分が何も努力せずに、誰かが引き上げてくれるなんていうことはありえないのです」 と野心だけではダメであることも指摘している。


林真理子の『野心のすすめ』(2013,講談社現代新書)の中に、「野心が車の前輪だとすると、努力は後輪」(同p.31)という言葉がある。
「自分が何も努力せずに、誰かが引き上げてくれるなんていうことはありえないのです」と野心だけではダメであることも指摘している。

野心と言うと、何か「世界征服」のような大きな、やや偏った「野望」のような
ものを想像する人も多いだろうが、辞書には、「大きな飛躍を望んで、新しいことに大胆に取り組もうという気持ち」(『広辞苑』第七版,岩波書店)のことであると書かれている。

つまりは、「野心」は「ビジョン」や「将来構想」と同義に近いイメージになる。
だとすると、「ビジョンが前輪、努力が後輪」と読み替えてもよいかもしれない。

また、林真理子は、「私が最近の若い人を見ていてとても心配なのは、自分の将来を具体的に思い描く想像力が致命的に欠けているのではないかということです」(同p.36)と指摘している。

内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)」( https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/h30/pdf-index.html  令和元年6月発表)
という調査の中では、将来への希望を日本の若者に聞いたところ、「希望がある」(「希望がある」「どちらかといえば希望がある」の合計)と答えた割合は60.6%。7カ国中、日本は最低となっている。ちなみに、最も高いのはアメリカで92.5%である。

国民性もあるので、一概には言えないが、将来に対して、こうしたいという思いを
持っている若者は諸外国と比べて少ないということは言える。
平成25年の同じ調査とでは、大きな差は認められない。

また、悩みや心配事の調査で、「自分の将来のこと」が心配なのは、調査対象の7カ国中、韓国に次いで2番目で、「心配」「どちらかと言えば心配」の合計は78.2%にも上る(最少はドイツの56.2%)。
将来に希望もなく、心配らしい。

今の60才前後の人は、バブルも含めた経済成長を子供のころから目の当たりにしている。
だからこそ、その延長線で明るい未来を思い描き、その流れの中で、自分の努力の結果として、何かの想いがかなった経験があるのではないか。
未来を悲観したことがないわけではないが、希望がないという状態はなかった。
野心と言えるものまではなくても、希望も期待も持っていたはずだ。

どうやれば野心=ビジョン、将来への展望が持てるのか?
林真理子は一言、「妄想力」(『野心のすすめ』,p.176)と書いている。簡単に言えば、「こうなったらいい」ということをひたすら妄想=思い描き、そのための努力をするということだ。
妄想の中には、自分の欲が反映される。その欲をよく見て、努力をすることで、野心は磨かれる。

私も仕事の上で「こうやって、こうすれば、これだけ売れるんじゃないか?」と
妄想することがある。残念ながら、「努力」が伴わないので、あまり叶うことはないが、それでも、少しは叶う。
(正しい)欲こそ、自分と人を動かす原動力なのだと思う。

ジェックメールマガジン2021/9/2

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