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メンバーの報告の良し悪しは上司で決まる

マネジャーの皆さんの研修を担当していてよく出てくる不満として、「報告をしてこない」「報告内容が不足している」があります。しかし、同じ企業内でも「メンバーの報告に不満はない」というマネジャーもいます。その違いはなんなのでしょうか。


「メンバーの報告が悪い」と嘆く上司

マネジャーの皆さんの研修を担当していてよく出てくる不満の一つに、「メンバーの報連相が悪い」というものがあります。

特に、報告についての不満が多く、「報告をしてこない」「報告内容が不足している」と嘆くマネジャーが多いようです。

確かに、最近の新人社員研修へのご要望でも、「現場から新人の報連相が悪いという意見が出ている。特に報告のやり方を徹底してほしい」という内容が増えています。

しかし、同じ企業内でも「メンバーの報告が悪い」というマネジャーと、「メンバーの報告に不満はない」というマネジャーが混在しています。そして、不思議なことに、マネジャーが人事異動した途端に「報告が悪い」と言われていたメンバーの報告が改善することがあるという点です。

このような現象を見て感じるのは、メンバーの報告の良し悪しは、上司にも原因があるのではないかということです。

 

「報告が悪い」チームをつくる上司とは

「メンバーの報告が悪い」状態のチームを作ってしまう上司とは、どのような特徴があるのでしょうか?

1.自分の「報告の好み」を伝えていない

「メンバーの報告が悪い」と嘆いている上司の皆さんのお話を聞いていると、「大切なことを口頭で報告してくる」とか「日報の書き方がざっくりしている」など、報告の仕方そのものに不満を持っているケースが多いようです。

つまり、メンバーは報告をしていないわけではないのですが、上司の好みに合わない報告の仕方をしているのです。上司の皆さんは、自分がどのように報告されると分かりやすいか、つまり「報告の好み」をあらかじめ伝えるだけで、報告への不満はかなり解消します。

 

2.報告に対するフィードバックがない

例えば、日報も報告の一種ですが、メンバーが書いた日報に毎日コメントしていますか? もし、コメントがない場合、メンバーは「上司が見てくれていない」と思い、だんだんと書く内容がざっくりしてきます。

それを見て、「おい、日報の内容が分かりづらいぞ!」と指摘してもなかなか改善はしないでしょう。

日報のみならず、メンバーから報告されたことに対しては、「この前報告してくれた○○については、対応しておいたよ」などとフィードバックがあると、報告しがいのある上司になるわけです。

 

3.そもそも上司が報告をしていない

人は、他人から何かをしてもらった時に「お返しをしなくれはならない」と感じます。これを返報性の法則と呼んでいます。

上司がメンバーに対して、「上層部で××という決定があった」「この前、お客さまからこのような情報をもらった」など、こまめに報告をしていれば、メンバーも上司に報告をしなくてはと感じるはずです。

しかし、自分はあまり報告をすることなく、メンバーに報告ばかり求めていると、やらされ感が増し、ますます報告が悪くなっていくことも考えられます。

 

4.報告するのが面倒だと思われている

「あの上司に報告するのは面倒だ」と思われてしまうと、なかなか報告をしてもらえなくなります。

例えば、気分の波が激しく、イライラしていることが多い上司です。メンバーは何かを報告する際に上司の顔色を見て、機嫌の良さそうなタイミングを狙わなくてはなりません。それ自体が面倒くさいのです。

また、報告している最中に「要するに何が言いたいの?」と突っ込んだり、「そんなこといちいち報告してくるなよ」などといったネガティブな発言をされると、ますます報告することが面倒になります。

この中で一つでも思い当たることがあれば、早々に改善してみてください。意識するだけでメンバーの報告が良くなるかもしれません。

 

報告の大切さを伝えているか

あなたのチームメンバーに「なぜ、上司に報告することが大切なのか?」と質問して、答えられる人はいますか?

メンバークラスの研修でこの質問をして明確に答える人はごく少数です。中には、「上司が私たちを管理したいからじゃないですか?」と言い放つメンバーもいます。

メンバーに一番伝えていただきたいのは、「報告は自分のためにする」ということです。

報告をした時点で上司は状況を認識するわけですから、上司とメンバーの共通事項になります。メンバーが困っていればアドバイスをしたり、助ける義務も出てきます。つまり、上司に報告すれば力が倍増するということです。

また、報告をすることで一度自分自身の状況を振り返ることになります。特に日報などは、自分の一日の行動をじっくり振り返る良い機会です。振り返ることで、次への行動を考えるきっかけにつながり、より良いパフォーマンスにつながります。

 

「報告をさせる」という感覚に陥っていないか

上司の経験が長くなると、「報告をさせる」という感覚に陥る人が増えます。すると、メンバーは「報告をさせられている」と感じ、嫌々ながら報告をするようになります。「報告をしやすい状況を作る」ことを心掛けたいですね。

 

【報告をしやすい状況を作るためのチェックポイント】

□メンバーに自分の「報告の好み」を伝えているか
□メンバーの報告に対して、必ずフィードバックしているか
□自分自身もこまめにメンバーに報告しているか
□いつも報告しやすい態度を心掛けているか


*本原稿は、株式会社ジェック「行動人」458号から転載・加工いたしました。

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