営業

自分の営業軸は何か

「お客様の要望にできるだけ応え、お客様との信頼関係を築いてきた。時には無理な価格要求、納期要求にも対応してきた。しかし、先日、ずっと商品を購入していただいていたお客様が競合他社から購入されたことを知った。残念ながら、こちらへの相談はなく…」なぜ相談がなかったのでしょうか?選ばれなかったのでしょうか?


 ある人から相談を受けました。

最近、上司から「引き合いを待っていては駄目だ」、「引き合いへの対応を変えなさい」と言われています。私は、お客様の要望にできるだけ応え、お客様との信頼関係を築いてきたつもりですし、時には無理な価格要求、納期要求にも対応してきました。 -(中略)-  

そして、先日、ずっと当社の商品を購入していただいていたお客様が競合他社から購入されたことを知りました。残念ながら、私には相談はありませんでした。担当者に聞くと、上層部で決まったことで、決して価格が安かったからではないとのことです。冷静に考えると、最近、このようなことが数件あります。「引き合い対応では駄目だ」という上司の言葉も引っかかっています。 

 

認知のされ方によって相談内容は変わる

お客様は、あなたをどんな営業だと認知しているでしょうか。
何を売っている営業だと認知しているでしょうか。
 
 以下の文に入れてみてください。
「○○○という営業担当者」
「○○○を売っている営業担当者」

 

実際には、お客様に直接聞いてみない限りは、顧客認知は分かりません。しかしながら、なぜ、この問いを出したのかというと、認知のされ方によって、お客様からの相談内容は変わるからです。

われわれが何かモノを買う時、サービスを受ける時の選択の仕方を考えてみてください。情報化社会において、これが欲しいと思うものを買う場合は、どこでどのように比較をするのか、決まっていない場合は、どうするかを考えると分かると思います。

ある企業の購買担当者が話してくれたことです。

「当社は、オフィス用品・家具を扱っている3社とお付き合いさせていただいておりますが、会社を使い分けています。その会社の営業担当者によって使い分けていると言った方がよいかも知れません。買うものが決まっている場合は、3社(A社・B社・C社)に見積もりを依頼します。

しかし、当社は、大半の業務を学生のアルバイトに頼んでいます。学生の人数などによって、フロアのレイアウト変更などをしていかなければなりませんので、導線を含めた業務効率、業務改善であれば、B社、C社に相談します。

また、今の学生の生活状況などから、どのように施設や設備を変えたら学生が集まりやすいか、学生が喜ぶかなどといったことを相談するのは、C社だけです」

この話から、購買担当者が、A社・B社・C社の営業担当者をどう見ているか、どんな認知になっているかを「○○を売っている営業」という言葉で整理したならば、次のようになるでしょう。

A社「オフィス用品・家具を売っている営業」
B社「オフィス用品・家具を通じ、業務環境の改善を売っている営業」
C社「オフィス用品・家具を通じ、業務環境の改善とともに、アルバイトの学生が働きやすく、学生が集まりやすい環境づくりを売っている営業」
 
なぜ、同等の商品、サービスを扱っている営業担当者にもかかわらず、顧客認知が異なるののでしょうか。
それは、これまで営業担当者が、その顧客に対して、どんな顧客認知を得る営業活動をしてきたかによります。 
 
例えば「この営業は、当社のこんなところまで考えて提案、情報提供をしてくれる。それなら、○○○について相談してみよう」となるはずです。 
 
お客様が、目的に対して「この商品、このサービスが欲しい」と決まっている場合は、よほどの品質差、スピード差がなければ、価格差が選択条件になるでしょう。
 
「お客様の目的=需要」が決まっている段階では、価格勝負の土俵での競合との争いとなることは当然です。 
 
一方で「お客様の目的=需要」を一緒になって創り上げる営業、お客様が気付いていない潜在化されたニーズを顕在化していく営業、お客様が新たな価値を創るための仮説提案をしていく営業は、競合とは異なる土俵で、顧客から選ばれていくでしょう。先ほどの例であれば、C社のように。
  
 
自分がなりたい営業軸を決める
 
みなさんは、これからどんな顧客認知を得る営業を目指しますか。それは自分の選択次第です。
 
以下に自分が得たい顧客認知を入れてください。
 
「私は○○○という営業担当者です」
「私は○○○を売っている営業担当者です」
「私は、この顧客認知を得て、営業活動をしていきます」 
 
人間は、「○○○を実現する」と決めた時から、知恵の出方、情報の集まり方が変わります。それほどの可能性があるということです。
 
 
*本原稿は、株式会社ジェック『行動人』から転載・加工いたしました。

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