人事の方と話をしていると、「採用のミスマッチ」の話題になることが多い。
このミスマッチはどうして生じるのだろうか。
「増えている」と感じられる理由を考えると、次の二つが推察される。1.については、企業によって様々な対策が打たれている。
良いか悪いかは別にして、かつての指定校制度を彷彿させるような「大学に出向いての企業説明会」で入口を絞っている企業もある。
また、採用と切り離されているとするインターンシップの活用が、文科省、厚労省、経産省と経団連とで、今年に入ってから審議されている。
早期の囲い込みにつながるというメリットに加え、ミスマッチを減らすというメリットも生まれるだろう。
2.については、1でカバーできることもあるが、今の若者が育ってきた環境からの影響に依拠する部分も大きく、入社後にその意識、認識を変える必要がある。
どのような意識傾向に課題があるかというと、次の三点にまとめられると思う。つまり、仕事はそこそこ頑張るが、自分の思うとおりにいかないことがあると、すぐにあきらめる傾向にある。
また、仕事の場を離れると学生時代からのネットワークでつながっているため、上司や同僚との信頼関係を作る必然性が薄い。
そのため、うまく相談できず孤立感を感じ、「自分はこんなはずではなかった」と離脱していくのである。
根は素直で優秀な人材が多い世代なのに残念なことである。
“あ然”とするのは、お互いの意識や認識にギャップがあるからで、この意識や認識のギャップを埋めていく育成が必要である。
最近の「指導員」はメンターと呼ばれ、仕事を教えるだけでなくメンタル面のサポートも行うことが期待されている。
それに加え、例えば、仕事観や組織観、上司・同僚観など、ものの見方や考え方(意識や認識)を確立するように促す働きかけも重要なのである。
ただし、何でもかんでも、育成側の意識や認識を優先させるのではなく、我々も新入社員から新しいものの見方や考え方(意識や認識)を吸収し、今の時代に合った組織文化に革新していくことも大切である。
そうすることで、双方のギャップが減少し、お互いの信頼のもと、着実に成長への道を歩むことができるのだ。
これが、ミスマッチを結果的に防ぐ方法であると思う。