震災時、誤った情報がSNS上で増幅されて発信されたことは記憶に新しい。
不安な人々やそれを気遣う人々が善意で情報を再発信したのだが、人々の不安感が大きければ大きいほど、このような誤発信は増幅しやすい。
同様に、企業内でも業績が悪くなったりすると、真実とは言えないマイナス情報が増幅されて社員間を駆け巡ることがある。
マイナス情報は、従業員の不安感をつのらせ、夢を打ち砕き、希望を失わせ、心をさらに暗くする。
そのまま、何も手を打たないと、どんどん業績低迷の方向に向かってしまいそうな気分になる。
このように考えると、従業員の「志気」こそ「最重要資源」とはいえないだろうか。
カネ・モノ・ヒト・情報・時間・頭脳などという「各種資源」といわれるものも、最終的には、働く人たちの「やる気」や「元気」「活力」によって、左右されることになるのだ。
「志気」や「活力」が、低かったり、弱かったりすれば、せっかくの優れたその他の「資源(人、モノ、金、情報、時間)」も活用されず、宝のもちぐされになってしまう。
そう考えると、「気力」のような「心的エネルギー」が最も重要な「資源」とは言えないだろうか。
「心的資源」を最重要資源と位置づけて経営をする「心的資本主義」(マインド・キャピタリズム)という視点こそ、変革の激しい現代の経営に成功する要ではないだろうか。
従業員の心が落ち込み、萎縮し、暗く沈みがちな時こそ、トップは、心が明るくなり、希望を持てるようになるような働きかけをすることが役割であり、重要な任務となる。
社員の心という資源に火をつけ、燃え立たせ、やる気を引き出すには、経営者自身が、「元気」と「気力」に満ちて「活力源」を提供する源たる必要がある。