サービスエンジニア

PowerUp実践講座 サービスエンジニア指導編 お客様から修理結果に不安を訴えられたらどうしますか?

顧客接点にいるエンジニアを指導するきっかけは、苦情など、お客様からの指摘が多いため、指摘内容に対して指導するという流れになるのは、自然なことです。 しかし、お客様から指摘された箇所だけをみて、応酬話法的な「こう言われたら(こうされたら)、こう答える」だけを指導するだけで解決するのでしょうか? 


研修やセミナーでは、修理後の報告のシーンをロールプレイングで実演します。
その時、お客様役の方から「本当に直ったの?」「大丈夫なの?」と聞かれた際、エンジニア役の方が「今日は大丈夫です」という言葉を返すことがあります。
そばから見ていると「『今日は』って、前はどうだったのか」とあきれてしまうセリフなので、見学者からは「『今日は』という言葉は使わない方がよい」という指摘が入ります。
確かに「今日は大丈夫です」は、お客様に対して使う言葉ではありません。お客様の不信感を大きくさせてしまうからです。
では、自分の部下や後輩が、現場でこのようなセリフをお客様に言ったらどうすればいいでしょうか。
「そのような言葉は使うな」と指導するだけでよいのでしょうか?「代わりにこう言いなさい」とアドバイスして終わりでしょうか?

実は、このような指導だけでは、状況は変わりません。場合によってはクレームを引き起こす可能性もあります。
「〇〇と言われたら、△△と答える」という応酬話法だけを身につけても、根本の問題解決にはなっていないことが多々あるのです。


お客様が修理結果に不安を感じた理由をつかむ
そもそも「本当に大丈夫なの?」などという不安を抱かせた原因は何でしょうか?
それが解決しなければ、いくら「大丈夫です」と言っても信じてはもらえません。
手を打つべきは、「本当に大丈夫なの?」と言わせないために、何をすべきかということです。
指導する際には、お客様が不安を感じた理由をつかみ、それに対する指導を行う必要があります。

過去の対応に原因が見られない場合、当日の対応で原因を探るポイントは、以下の4つです。
①最初の印象で「任せられそう」と思わせているか。
②作業前に「うちの事情を踏まえて対応してくれそう」と安心してもらえているか。
③機械に向かう姿勢から「プロとして的確な対応をしている」と感じさせているか。
④報告の際、お客様の期待していることを的確に伝えられているか。
この4つのうちのどこかで不適切な行動を取ると、お客様に「この人で大丈夫だろうか」という不信感を抱かせます。
結果的に「(この人が担当した)機械の修理内容も、大丈夫だろうか...」と不安にさせてしまうのです。



指導は、現象への打ち手ではなく原因への打ち手
原因が分かると、それに対する指導ができます。

①最初の印象で「任せられそう」と思わせているか
→あいさつ、身だしなみなど、基本的なことで良い印象を与えているかをチェックする、という指導ができます。

②作業前に「うちの事情を踏まえて対応してくれそう」と安心してもらえているか
→作業前のヒアリングで、分かっているつもりにならず、機械の状態、お客様の業務や気にしている点、ご要望や期待を把握できているかをチェックし、さらに、把握した内容に間違いがないか、お客様に確認できているかなどをチェックすることが、指導のボイントとなるでしょう。

③機械に向かう姿勢から「ブロとして的確な対応をしている」と感じさせているか
→整理整頓を心掛けて対応できているかなど、業務姿勢や態度について指導できます。

④報告の際、お客様の期待していることを的確に伝えられているか
→修理結果を納得できる手順で伝えているか、不安を煽るような言葉を使っていないかなどが、指導ポイントになります。

このように、原因をつかめば指導内容も分かってきますし、結果も変わってきます。

顧客接点にいるエンジニアを指導するきっかけは、苦情など、お客様からの指摘が多いため、指摘内容に対して指導するという流れになるのは、自然なことです。
しかし、お客様から指摘された箇所だけをみて、応酬話法的な「こう言われたら(こうされたら)、こう答える」だけを指導しても、解決しません。

指導のポイントを探るためにも、「なぜそのようなことになったのか」を確認していく必要があるのです。

今回のケースだけでなく例えば、
・お客様が、依頼事項を実行してくれない
・お客様が、使い方の改善をしてくれない(機械を壊しやすい)
といった時にも、「どのように説明するか」だけではなく「なぜ聞いてもらえないのか?」を考える必要があります。
ぜひ、チャレンジしてみてください。

お客様対応 サービスエンジニア指導のチェックポイント
□お客様からの指摘は、技術的な問題ですか? 対人スキルに関わる問題ですか?
□問題を引き起こした原因は、誰が・どこで・何をしたことがきっかけでしょうか?
□その打ち手(指導内容)を実践できれば、同様の問題の再発は防げますか?

*この記事は、弊社行動人458号より転載、一部加筆いたしました。

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