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PowerUp実践講座 サービスエンジニア指導編 「元気にあいさつする」理由を説明できますか?

サービスエンジニアを指導する方向けの研修で受けた質問です。 「お客様とのあいさつは、元気良く」と指導した際、「あいさつしても返してくれないお客様に、元気にあいさつする意味があるのですか?」と反論を受けたそうです。 皆さんなら、どう答えますか? そして「あいさつが大事なのはあたりまえだ。つべこべ言わずにやれ!」こう言われたら、果たして指導された方は納得するでしょうか? 指導をするときには「価値観の違い」が壁になることは多々あります。ではどうすればよいのでしょうか?


最近の研修では、エンジニア本人のスキルアップだけではなく、指導についての質問を受けることが増えました。
時代が変わり、自分が若い頃と求められていることが異なるため、経験のないことを指導するのが難しいと感じている方も多いようです。
また、若手と価値観が異なることで、「自分が若い頃は当たり前だったのに、指導しても伝わっていない」と感じている方もいらっしゃいます。
今回は、指導内容を相手に理解してもらうために必要な対応について考えていきます。

 

指導の内容が伝わらない理由
サービスエンジニアを指導する方向けの研修で受けた質問です。
「お客様とのあいさつは、元気良く」と指導した際、「あいさつしても返してくれないお客様に、元気にあいさつする意味があるのですか?」と反論を受けたそうです。
皆さんなら、どう答えますか?
ご質問者は「そのエンジニアは、単にやりたくないから、理由をつけてやらなくて済むようにしたいだけだと思ったので、『つべこべ言わず、やれ』と言ってやりました」とのことでした。
確かに、「やりたくない言い訳」にも一理ありますが、これでは、指導された側は理不尽だと感じて、感情面で関係性がこじれてしまいそうです。

そこで、まず考えたいのが、「なぜ指導内容が伝わらないのか」という点です。ここには、「価値観の違い」という原因が隠れています

「元気にあいさつする」のは当然だと考える方には、「元気にあいさつするように」と指導すれば、納得して実践でしょう。しかしあいさつに価値を感じていない人は、「わざわざする必要があるのか?」と感じてしまいます。
「あいさつをする必要がない」という否定的な意見の人は少ないでしょうが、残念ながら「あいさつをした方がよいのだろうけど、したからといって何が変わるものでもない」と感じている人はそれなりの人数います。「たかがあいさつ」と捉えているのです。

そんな人に、いくら口酸っぱく「元気にあいさつするように」と言っても、「そこまで指導されなくてはいけないことなの?」と感じるだけなのです。
これを【最近の若い者は】と結論づけてはダメです。若手から「考えが古い」と一刀両断されるだけです。

まず、お互いの価値観の違いを受け止めることからスタートです。

一つ一つの行動には意味がある
相手の価値観を受け止めることが必要だとはいえ、「あいさつが重要なこと」に変わりはありません。
そこで、あいさつに価値観を感じていない人に「元気なあいさつ」をさせるためには、「あいさつは重要である」と、価値観を変えてもらう必要があります。
そのためには「なぜ、元気なあいさつが必要なのか」を説明して、相手が納得する必要があります。

行動にはそれぞれ意味があります。
例えば、マナーや礼儀といわれる行動は、相手に「尊敬の意」を伝えるために行います。「相手を大切に思っている」ということを伝えるための「形」です。
そのため、「形」が崩れていると「この人は、私に対してその程度の敬意しか持っていない」と受け止められてしまいます。

人は、自分が大切にされていると感じれば、相手に心を許しやすくなります。心が開き、コミュニケーションを円滑に進めやすくなります。
礼儀やマナーは、相手の心を開き、コミュニケーションを円滑に行うために必要な行為なのです。もちろん、心が伴っていないとそれは「虚礼」であり、すぐに見抜かれます。

さらに、エンジニアが行うあいさつは、「この人に機械を任せて大丈夫」と感じていただくためでもあります。あいさつひとつですが、小さい声でやる気なさそうな立ち姿で、ぼそぼそとあいさつするような人では、頼りなさそうで、「この人で大丈夫かなあ…」と思われてしまうこともあるでしょう。

だからこそ、エンジニアが行うあいさつは、「『ぜひ私にお任せください!』という気持ちが伝わるような、自信に満ちた響きのある、明るく元気の良いあいさつ」が必要なのです。

あいさつは1つの例です。お客様対応のそれぞれの行動に、すべて意味があります。それを皆さんが指導されるエンジニアの方に説明できるでしょうか?



相手に考えさせる
相手の価値観が異なるので、指導内容が伝わらない。
だからこそ、その行動の意味を伝え、納得して、動けるように導くことが必要です。
しかし、一からすべてを伝えるだけでは、相手は考える力を失います。また、自分の中に明確な答えがない場合もあるでしょう。
時には「この場合『〇〇するように』と指導しているのは、なぜだと思う?」とエンジニアの方に投げかけてみましょう。その答えから、一緒に考え、導き出していくことも必要です。
とはいえ、指導する本人ができていないと論外です。指導者自身も日々精進が必要です。

《サービスエンジニア指導のチェックポイント》
指導する(伝える)前に、考えをまとめるためのチェックポイントです。ぜひご活用ください。
□その行動は、どのような結果を意識した行動でしょうか?
□その行動を行うと、なぜ良いのでしょうか?
□指導内容の見本を見せられていますか?

*この記事は、弊社行動人456号より転載、一部加筆いたしました。

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