組織改革

あなたは話しかけやすいマネジャーか?

「マネジャーが忙しそうで相談するのが難しい」「会議で発言してもよいかどうか迷う」「いろいろ指示されてキャパオーバーになるが断れない」。あなたのメンバーがこんな悩みを持っていたたとしたら? これらは全てコミュニケーションの悩みです。「最近の若手はコミュニケーションが下手だからな」と切り捨てないでください。原因は若手ではなく、マネジャーにあるのではないでしょうか。


若手のメンバーの悩みとは?

先日、ある企業様の入社一年目社員のフォロー研修を行った際のことです。入社して10カ月程度経ち、そろそろ仕事にも慣れてきたため、まずはうまくいっていることを発表し合い、情報共有しました。
「お客様とスムーズに話せるようになった」、「一人で契約が取れるようになった」など、うれしそうに話す人も目立ちます。

その後、「うまくいっていないこと、悩んでいること」を発表し合ったのですが、次のような悩みが多く出てきました。
・マネジャーや先輩が忙しそうで、相談するのが難しい
・帰りたいが帰れない雰囲気である
・会議で発言してもよいかどうか迷う
・いろいろ指示されてキャパシティーオーバーになるが断れない

これを見て気付いたのは、全てコミュニケーションの悩みであるということです。
「最近の若手はコミュニケーションが下手だからな」と切り捨てないでください。原因は、若手ではなく、私たちマネジャーにあるのではないでしょうか?


現在はマネジャー多忙の時代である

ここ最近は、仕事の効率化が求められ、人員を減らされたり、一人が担当する顧客が増えたりするといった状況が多くなっています。すると、マネジャー自身もプレイヤーの仕事を抱えることとなり多忙を極めます。そのため、メンバーとコミュニケーションを取る余裕がなくなってくる状況に…。

結果的に、先述のような「若手の悩み」が増える傾向にあります。つまり、コミュニケーション上の問題が横行しているのです。

では、どうすればいいでしょうか? 忙しい中でも、マネジャーはコミュニケーション上の配慮をする必要があります。マネジャーが余裕を持ったコミュニケーションをしていれば、職場は少なからず和み、話しやすい雰囲気が生まれます。

そこで、これだけはというコミュニケーションのポイントをご紹介します。


マネジャーのコミュニケーション「はひふへほ」

ポイントを「はひふへほ」で整理します。

は:話しかける。
マネジャー自身が忙しいと、余裕がなく、事務所に入るとメンバーに脇目も振らず自分の机に直行。椅子に座るなりパソコンを叩き出し、貧乏ゆすりと眉間にはしわ。これでは、当然メンバーは相談できません。

マネジャー自ら、「おはよう、風邪は治った?」「昨日の商談、どうだった?」などと、気さくに話しかけることが大切です。自ら気さくに話しかけるマネジャーには、メンバーも気さくに話しかけやすくなります。「相談しづらい」といった悩みは解消されるはずです。

ひ:平等に接する。
マネジャーも人間ですから、相性が合うメンバーと合わないメンバーがいるのは否定できません。しかし、相性が合うメンバーとばかり話したり、食事をしたりしていると、他のメンバーからひんしゅくを買います。

どのメンバーにもできる限り平等にする。少し接する回数が少ないメンバーがいたら、意図的に接する回数を増やす。そうすれば、「自分にも気を向けてくれている」と安心感を持ってもらえます。

ふ:不満にも耳を傾ける
メンバーが不満を口にすると、「お前はそんなマインドだから成果が出ないんだ!」などと一括してしまうマネジャーがいます。すると、メンバーも不満を口にすることが怖くなり、口をつぐんでしまいます。

つまり、本音を言わなくなっていきます。「会議で発言してよいかどうか分からない」という悩みは、自分の意見を不満と捉えられて一喝されるのではいか、という恐れからくることが多いようです。

ぜひ、不満やネガティブな意見にも真摯に耳を傾ける余裕を持ってください。もちろん、迎合してはいけません。しかし、「マネジャーは、とりあえず話を聞いてくれる」とメンバーが感じれば、いろいろな相談や意見を言ってくれるようになります。
結果的に報連相が促進され、良い情報が集まってくるようになるはずです。

へ:返答・返信を行う
メンバーから質問されたことや相談されたことに対する返答・返信を必ずしてください。非常に忙しいマネジャーが増えている現在、メンバーからの質問に返答・返信すること自体を忘れてしまう人が多発しているのです。
単に忙しいから返答していないだけでも、メンバーから見ると「なぜ、返答してくれないのだ?」「怒っているのではないか?」などと、良からぬ想像をしてしまいます。

メンバーからの質問や相談への返答は、基本3時間以内。それより遅れる際は、「遅れる」旨を返答してください。

ほ:褒める
褒められて嫌な気持ちになる人はいません。たとえ「わざとらしい褒め方」でもうれしいものです。そして、ほとんどのマネジャーは褒めることが大切であることを分かっています。しかし、なぜか褒めない。

褒められていないので、メンバーは自分に自信を持てない。自信を持てなければ、マネジャーに自分の意見を言うことなどできません。そして、断ることもできなくなり、キャパシティーオーバーになっても仕事を受けてしまう。その結果、大幅な納期遅れが発生し、現場が大混乱。そのような状況で、マネジャーからまた厳しい指摘が…。
チーム内にそのような悪循環を引き起こしたくなければ、時々でよいので褒めてください。

マネジャーが余裕のない時代、でも、「はひふへほ」くらいはできると思いませんか?

【話しかけやすいマネジャーのためのチェックポイント】
□は:自らメンバーに話しかけている
□ひ:平等にメンバーに接している
□ふ:不満に耳を傾けている
□へ:メンバーの質問や相談に必ず返答・返信をしている
□ほ:褒めている

*この記事は株式会社ジェック「行動人」455号より転載・加筆いたしました。

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