サービスエンジニア

パワーアップ実践講座 サービスエンジニア指導編 ファン客創造につなげる苦情対応

サービスエンジニアにトラブル対応能力が不足している場合は、上司や能力のある人が別途対応する必要があります。しかし、上司が出向かずエンジニア当人に任せたほうが良い苦情対応もあります。ピンチをチャンスに変えることができる、エンジニアならではの苦情対応について考えます。


時々、部下の起こした問題の対応で、お客様先に謝罪に行くことになったという話を、受講企業の方から聞くことがあります。「部下が起こしたことですから…」と言いながら謝罪に行く姿は、頼りがいのある上司にも見えます。

反面、部下だけでは対応できなかったのだろうかという疑問も生まれます。もちろん、上司が行くことで場が収まることは多いですので、必要な時は、上司が出向くべきです。
しかし、部下だけで対応できる時に、過保護に上司が出てしまうと、部下の成長にも、お客様との関係にも悪影響を与えてしまうことがあります。過剰な上司のかかわりは、注意が必要です。

 

上司が対応する場合
部下に、起きたトラブルに対応する能力が不足している場合は、上司や能力のある人が別途対応する必要があります。発生した問題そのものを解決できない場合、部下に任せていたのでは、トラブルが大きくなる一方です。お客様にとっても業務への影響が大きくなりますし、部下にしてもつらい経験をさせてしまいます。

また、何らかの理由でトラブルが大きくなっている場合は、会社としての誠意を示す必要もあり、役職者が出向くべきタイミングがあります。
これらの場合、上司がしっかり対応することが望まれますが、残念ながら、上司が出向くべきではない場合もあります。

部下が、トラブルの原因を解決する技術的な能力を持っているにも関わらず、お客様の態度がお怒りだからという理由で、上司が出向いてしまう場合です。
この場合、二つのデメリットがあります。

一つは、部下が苦情対応の経験を積めないことで、それにより、対応能力が身につかない、何かあれば上司を頼ればよいという甘えが強くなるという点があります。
もう一つは、お客様との関係が現状維持でとどまってしまうという点です。上司が対応した場合、お客様の心理は「まあ、○○さんが来たので、(怒りは)おさめますがね…。二度とこのようなことは起こさないでくださいよ」といったものでしょう。マイナスは解消したかもしれませんが、プラスの関係にはなっていません。残念ながら、この状態が起こりやすいのです。

しかし、直接部下が対応した場合、しっかりと対応すれば、お客様の心理に変化が生まれます。プラスの関係に変えることができるのです。


部下が対応した場合
エンジニアがトラブルを解消し、お客様の苦情の解消も行えた場合のお客様の心理は、「いろいろあったけど、この人に対応してもらってよかった。今後もお願いしたい」という心理が生まれるのです。
もちろん、しっかりとした対応が前提ですが、対応が成功すれば、お客様との関係はプラスになります。苦情からファン客を創ることができるのです。

なぜ、お客様の心理に変化が生まれるのでしょうか。

それは、エンジニアがトラプルそのものを解消し「しっかり対応してくれた」という感謝と、苦しんだ情への的確な対応ができたことでの「私の苦しみを分かってくれる人」という安堵が生まれるからです。これらの心理の結果、次には「いろいろあったけど、この人に対応してもらってよかった。今後もお願いしたい」という心理が生まれるのです。

最初はお怒りだったお客様が対応後に笑顔で「ありがとう」と言ってくださった経験がある人も多いと思います。その時のお客様の心理がまさにこの心理です。
お客様は、エンジニアを「業務を支えてくれている身近な存在」として見ています。その身近な存在であるエンジニアが、誠意をもって対応することで、より頼りがいを感じるのです。

一見ピンチに感じる苦情も、ファン客創造のチャンスです。これは、エンジニアならではの苦情対応です。

これらのことから、少しくらい感情的なお客様であれば、率先してエンジニアに対応させたいものです。
上司がサポートすることは、とても重要です。しかし過剰なサポートは、お客様との関係強化にマイナスです。
メンバーを信じて、苦情対応を任せてみませんか?

 

【チェックリスト】
□部下から相談された案件は、部下が対応できる内容かどうか適切に判断していますか?
□エンジニアに、苦情をファン客創造のチャンスであることを伝えられていますか?

弊社「行動人463号」より転載。

*シリーズまとめ読みはこちらから!*

●なぜ、お客様に役立つ提案は、エンジニアの本来業務なのか?
●仕事観の切り替えで、メンバーの行動を変える
●受け身体質を改善する
●専門技術と対人能力のバランス
●ファン客創造につなげる苦情対応

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