営業

パワーアップ実践講座 営業パーソン編 お客様のニーズについて考える

お客様のニーズとは何か? 営業パーソンが厳しい市場環境の中で、ライバルに勝ち、お客様に選ばれ続けるためには、お客様のニーズをつかむことが何より重要です。「〇〇に困っているんだ」というお客様の「目に見えている問題」に対応するだけでは選ばれ続けることはできません。氷山の一角・「ニーズ三層」を考えます。


今回は、お客様の「ニーズ」について一緒に考えていきたいと思います。

お客様の「ニーズ」とは何か?

ある飲料メーカーに勤める営業パーソンの居酒屋での会話です。
A:課長はいつも「得意先のニーズをキャッチして、問題解決型の提案をしろ」って言うじゃない? そもそも、ニーズって得意先の悩みとか要望ってことだよね?
B:まあ、そういうことだろうね。だから自分も意識して得意先の要望とか、今何に困っているかとか、聴くようにしているけどね。
でもこの前、スーパーの〇〇様から、利益が落ちているって話を聞いたから、条件申請の社內許可取って粗利の取れる商品の提案を持って行ったんだ。検討しておくってバイヤーが言うもんだから、しばらくしてから「その後いかがですか?」って聞いたら、ライバルの□□が持ってきた提案を採用したって言われてさ。
A:へえ~。で、そのライバルの提案ってどんな提案だったの?
B:バイヤーは教えてくれなかったね。ただ、そこの営業担当者は頻繁にバイヤーと商談する時間を持っているみたいで。
A:そうか。どうせうちよりも良い条件出してるに決まってるさ。
B:結局、いかに安く仕入れるか、がバイヤーにとっての悩みだし、要望なんだよね。うちの会社ももっと条件面でライバルと戦えるように考えて欲しいもんだよ。

皆さんはこの会話を聞いて何を感じますか?
このスーパーのバイヤーの「ニーズ」は本当に安く仕入れたいということだけなのでしょうか?

ジェックではお客様の「ニーズ」には三層あり、顕在化しているものと潜在化しているものがあるとお伝えしています。

氷山の図

図Iにあるように、お客様のニーズ(お悩み・問題・ご要望)を氷山に例え、それぞれ上からD:デザイアー、N:ニーズ、W:ウォンツと呼んでいます。それぞれのニーズについて、立場から見た認識の有無、把握の仕方、問題の種類をわかりやすくしたものが図Ⅱです。
ニーズ一覧

デザイアー対応からの脱却

先ほどのBさんは、デザイアーに対応する営業スタイルになっていることが推察されます。つまり、ライバルも認識しているレベルであり、ニーズやウォンツレベルまで掘り下げて聞けていなかった、逆にライバル社の営業マンは顕在化している問題だけでなく、潜在化している問題を引き出して提案をしたからこそ受け入れられたのかもしれません。
条件ではなく。
「うちは今××で困っていてね…」など、お客様が問題だと明らかに言っていること、それを一つ開いて終わりにするのではなく、そうなっている原因は何か? 他にはないか?と掘り下げて聞いていくことで、お客様の潜在ニーズを探し、引き出していくことを意識してください。さらに、お客様も気づいていない、今は困っていないが将来的に困るかもしれない問題を、読みを働かせ、共に解決していくべき課題として合意できると、より大きなお役立ちにつながるはずです。
厳しい市場環境の中で、ライバルに勝ち企業として生き残っていくためには、少なくともニーズレベルから下に目を向け、お客様の潜在ニーズをヒアリングしてリサーチし、そこから問題解決のための提案をしていく必要があるのです。

【お客様のより深い潜在ニーズを引き出すためのチェックリスト】
□お客様が発した言葉の表面だけを受け止めるのではなく、その背景をつかむ。
□今現在のお客様の問題が明らかになっているのであれば、そうなっている原因は何か、をつかむ。
□お客様にとって将来的に問題になるかもしれない点について、読みを働かせて仮説を立てる。
□日頃からお客様の動向に興味を持ち、アンテナを立てて情報収集を怠らない。


*この記事は弊社行動人464号より転載一部加筆いたしました。

Similar posts