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ビジネスパーソンの悩み解決相談室 フレッシュマン編 コミュニケーションのポイントって何ですか?

入社して約一年が経ち、任せてもらえる仕事の領域も広がってくると、他部門とのミーティングの機会も増えてきます。「自分が思い描いている方向に議論が進まず、曖味な結論で終わってしまうことも。結局、互いの妥協点を見つけて折り合いをつけるしかないのか、どこか釈然としない」今回はそんなお悩みについて考えます。


早いもので、入社してから一年近く経ちました。
職場にも慣れ、仕事も任されるようになったのではないでしょうか。
今回も現場の声を反映しながら、皆様のお役に立てるように情報を提供してまいります。
今回はコミュニケーションについてのお悩みです。

Q:他部署のメンバーと思うようにコミュニケーションがとれません
入社して約一年が経ちました。自分に任せてもらえる仕事の領域が広がったため、最近では部署の代表として他部門の方とミーティングをする機会も出てきました。
ミーティングでは、自部門の作業効率をさらに上げるためにも、積極的に意見を出すように心掛けています。

ところが、自分が思い描いている方向に議論が進みません。それどころか、曖味な結論で終わってしまうことも多々あります。
結局、会社は性格も価値観も立場も違う人間同士が集まっているのだから、互いの妥協点を見つけて折り合いをつけるのが一番なのでしょうか。
どこか釈然としない気持ちを引きずっています。

A:コミュニケーションの共通目標は何かを考えよう
自分の意見が通らない。頑張っているのに状況が好転しない。確かにこのような状況が続けば、モチベーションが下がる気持ちはわかります。
ここで一つ質問です。ミーティングの場で、他部門のメンバーと議論を交わす際、何を共通目標にしていますか?

あなたは「自部門の都合を押し通そう」とか、「自分の意見を押し通そう」といった気持ちで議論を進めてはいないでしょうか?

共通目標がずれると対立を招く
会社にいるメンバーは、元々あなたとは赤の他人です。しかし同じ組織に属している今は、共通の目標を達成するために互いに協力し、大きな成果を実現するために集まっている「仲間」です。
ところが仮に、双方に共通であるはずの目標がずれてしまうとどうなるでしょうか。

自部門の作業効率を上げるために、他部門に厄介な仕事を押し付けたり、自分が楽をしたいから、面倒な仕事は受け付けなかったり。
するといつの間にか、共通であるべき目標が、互いの自己利益を優先することにすり替わってしまい、その結果、組織の共通目標が果たせなくなってしまいます。
そして気付けば「部門間の壁」というやっかいな障壁が出現して、任事がやりにくくなってしまうのです。

「自己の利益を優先させると、組織はうまく回らない」ということはおわかりいただけたでしょう。
では、どのような意識を持って他部門のメンバーとコミュニケーションを取れば良いのでしょうか。

コミュニケーションは成果を達成するための手段
ビジネスにおけるコミュニケーションの本質とは、「仕事の成果を達成するための手段」です。つまり、会社の共通目標を達成するために、いかにコミュニケーションを取るかが最重要ポイントになります。
なぜそう言えるのか、例を挙げて說明しましょう。

Aさん、Bさん、二人の同僚がいたとします。
●Aさんは自己中心性がとても強い人で、仕事の進め方はいつも自分が中心。誰かに仕事を依頼するときも自分の都合を優先しますし、こちらから仕事を依頼した場合は、不機嫌そうな顔をすることがよくあります。
●Bさんは、常に共通目標の達成を念頭に置いて仕事をしており、自分の意見と違ったとしても、それがより共通目標達成の成功率を高めるとわかれば、今までの成功体験を捨てることを厭いません。時間や手間がかかっても、積極的に新たな行動を取る人です。

さて、皆さんはこの二人のどちらと一緒に仕事をしたいですか?

あなたの熱心に仕事をする姿勢はとても素晴らしいので、今後もぜひ積極的に周りに働きかけてください。
しかし、目標が「自分のために…」とか、「自部門のために…」と内向きになってしまったら、他部門からは「あいつは自分(自部門)のことだけを考えている」と判断されてしまいます。
そんな状態でコミュニケーションを図ろうとしても、うまくいくはずはありませんね。

他部門のスタッフとコミュニケーションがとれないと悩んでいるのなら、まずは自分の主張が「内向き」になっていないかを考えてみるとよいでしょう。

新入社員の皆さんには、早期戦力化を求められるとともに、会社に新たなる風を吹きこみ、組織を活性化させる役割を期待されています。
ですから、議論が行き詰まった時には、あらためて組織の共通目標を基点に周囲に働きかけてみてください。

また、他のメンバーが発言した内容に疑問を感じたときも、やはり共通目標を基点に、「なぜそうなのですか?」と積極的に質問してください。
そこには未知のノウハウがたくさん詰まっているケースが多く、状況によっては、相手の認識を正す手助けにつながることもあります。

このように、共通目標の達成という成果に向かって他部門とコミュニケーションを取り続けていると、新たな情報が舞い込んでくる機会も増えます。
さらには「○○さんは、いつも仕事に対して真剣に向き合っている」という評価を得ることができ、今まで以上に仕事がやりやすい環境を築くことにもつながります。

実力をいかんなく発揮するためにも、ぜひとも、常に正しい共通目標を軸に行動しましょう。

弊社「行動人438号」より転載。一部加筆しました。

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