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ビジネスパーソンの悩み解決相談室 フレッシュマン編 上司とうまくつきあうにはどうすればよいでしょうか?

「上司とそりが合わない」 入社1年が過ぎ、仕事も覚え、自分の得意分野では上司よりも高いスキルをもっているあなたからすると、昔はどうだったなどの発言に古臭さを感じたり、自分の意見をちゃんととりあってくれなかったりすると、「この上司にはついていけない」と思うことは少なくありません。そんなときに読んでください!


Q:上司とそりが合いません
社会人になって一年、最近上司に対して疑問を抱くことが増えてきました。

というのも、上司の駄目な部分が目に付くようになったからです。例えば、PCスキルは明らかに私の方が詳しく、使いこなせていますし、発言が古臭く「自分が若かったころは…」といった昔話をよくしてきます。入社してしばらくの間は私も知らないことが多く、仕事を教えてくれましたが、最近では情報が尽きたのか、仕事を教えてくれることも減りました。

極めつけは、私が何か意見を述べても、まともに取り合ってくれません。それどころか、何かとケチをつけてはねのけられます。
将来も今の上司の下で働くことを考えると、正直、気が重いです。

A:理想の上司ではなく理想のペアを目指そう
おっしゃるとおり、上司も決して完璧ではなく、それどころか、私たちより劣っている部分があるかもしれません。
私にも経験がありますが、私たちは上司に完璧を求めがちです。
なぜなら、普籍やテレビ、雑誌、ネットなどから、私たちの頭に理想のリーダー像がインプットされていて、無意識のうちに「上司とはこうあるべきだ!」と決め付けているからです。理想の上司と現実の上司を比べてしまいがちなのです。すると上司の欠点ばかりが目に付いてしまい、何かに付けて上司が疎ましくなって、仕事がしづらい状況になってしまうのです。
ではどうすれば上司と理想のペアを組めるのか、一緒に考えましょう。

上司の強みを活かし弱みをカバーしよう
上司と理想のペアを組むために最善の方法は、「上司の強みを活かし、弱みをカバーする」ことです。上司の立場に立って考えるとその理由がよくわかります。

今から10年後、あなたは課長になりました。昇進したことで仕事に対する責任も重くなっています。あなた自身もこの10年間で相当レベルアップはしているものの、毎日の忙しさに押しつぶされそうです。仕事の内容も幅広くなり、苦手な分野も出てきました。悩みの種は尽きません。

こんな状況で、あなたは部下に何を望むでしょうか。
答えは難しくありませんね。「手伝ってほしい」です。
もっと言えば「苦手な分野に関しては、特に助けてほしい」。このように思うのではないでしょうか。

誰にだって、強みもあれば弱みもあります。
しかし、ビジネスの世界では、常に自分の強みである得意分野だけで仕事ができるかというと、そうではありません。弱みの部分、苦手な分野にも対応しなければならないのです。上司にも同じことが言えます。しかも、仕事の幅が広がれば、苦手な分野の幅も間違いなくメンバーより広がっているはずなのです。

そこで、メンバーが上司の弱みをカバーしてあげたらどうでしょう。
例えば、現状把握が苦手な上司ならば、進んで自分の状況を報告する。PCスキルが苦手な上司であれば、代わりにデータ整理を手伝う。話が苦手な上司であれば、積極的に傾聴する…など、どれもさほど難しいことではありません。

しかも、このようにフォローをすれば上司は苦手なことに労力を割かなくてよくなり、その結果、自分の強みを活かした仕事に力を注げるようになります。
上司との人間関係を良くするには、まず自分の行動を変えるのが一番の近道です

「上司の仕事ぶりが至らないから、自分の力を活かしきれない」のではなく、「自分が上司に対してあまり協力的でないから、上司の力を活かしきれない」という考えが大切です。

上司のためは、自分のため
とはいうものの、「そこまでしないといけないのか?」と思う人もいるでしょう。
結論としては「イエス」。なぜなら自分にとっても大きなメリットがあるからです。

①頼りになる助っ人が見方になる
例えば、自分自身が仕事で悩んでいるときに、もし誰かがまるで自分のことのように手伝ってくれたら、あなたはどんな気持ちになるでしょう。
ありがたい!と感じるのではないでしょうか。
今度は、自分に協力してくれた人が仕事で悩んでいます。さて、この状況を目前にして、皆さんはどうするでしょうか。おそらく「手伝う」という人が多いと思います。

先ほど「上司の苦手な部分を補って強みを発揮させよう」という話をしました。これを実行すると、上司には「ありがたい。本当にいい部下を持った。今度何かで恩返しをしよう」という気持ちが芽生えます。
実務経験が長く、実績で会社から評価されている上司が、私たちに協力的になったらどうでしょうか。少なくとも、今より仕事がしやすい環境が生まれるでしょう。

②仕事の幅を広げられる
通常、上司の仕事というものは、何年もかけて自分が今の上司と同じポジションにまで上らないと担当できないものばかり。実は上司の仕事を手伝うことは、自分のレベルをさらに高めるための近道なのです。
例えばエクセルにデータを打ち込んでグラフ化する仕事を手伝ったとします。作業はごく簡単なものです。

ポイントはここから。ただ、グラフを作って終わりでは意味がありません。上司は何のためにこの資料を必要としたのか、何を読み取ろうとしているのかなど、質料が活用される場面や内容まで深く考えると、上司がどんな視点で仕事をしているのかがわかります。

このように上司の立場に立って物事をみると、一段高い視点から状況把握する能力が高まり、さらに今まで考え付かなかった新たな解決策を導き出す能力を磨くことも可能です。

つまり、本来は数年後に昇進してから身に付けるべき全体最適を実現する能力を、早い段階で身に付けることができます。

「上司」は、私たちのビジネス人生に大きな影響を与えます。仕事の指示をするのも、評価するのも、そして昇進させるかどうかを決めるのも上司。私たちにとって重要な事柄を判断するのは上司です。それだけに、上司との人間関係に悩み、退職という道を選ぶ人が多いのも事実。

しかし、入社からちょうど一年が経ったこのタイミングで、あらためて自分の行動はどうなのかを、振り返ってみましょう。
上司とより良い関係を築き、理想のベアになるためにも、まずは自分の意識や行動を変えてみるとよいでしょう。

弊社「行動人439号」より転載。一部加筆しました。

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