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メンバーからの提案でチーム力アップ!

メンバーが積極的に提案を行い、さまざまな面でチーム内の改善が進めば、成果の出やすい状況になる。つまり、チーム力が高まります。ほとんどの方が提案することの必要性と重要性を認識しているにもかかわらず、実際には提案をしていないことが多いようです。なぜ提案をしないのかと聞くと、「提案しても、どうせ上司に却下される」という答えが。上司の立場からすると、実施するメリットを感じない提案を却下するのは当然のことです。では、それはメンバーだけに問題があるのでしょうか?


「報連相+提案」が今の時代の基本

私はメンバークラスに行う研修の中で「今の時代は、報告・連絡・相談だけでは足りない。あと一つ追加するとしたら何でしょうか?」と質問します。
するとすぐに手が挙がり、「提案です!」と答える受講者がいます。その通り、今の時代は「報連相+提案」が重要なのです。

メンバーが、上司や他のメンバーに積極的に提案を行い、さまざまな面でチーム内の改善が進めば、成果の出やすい状況になる。つまり、チーム力が高まります。
先述の受講者のように、ほとんどの方が提案することの必要性と重要性を認識しているはずです。

しかし、私が次に「では、ここ1カ月以内で、上司やメンバーに何か提案した人はいますか?」と質問すると、挙手をする人はほとんどいません。「では、3カ月以内は」と期間を広げても挙手がありません。
つまり、提案の必要性は分かっていながら、実際には提案をしていないのです。


なぜ、提案をしないのか?

なぜ提案をしないのかを聞くと、「提案しても、どうせ上司に却下される」という人が多いようです。
上司の立場からすると、実施するメリットを感じない提案を却下するのは当然のことです。
また、一度却下したくらいで提案を諦めるなら、それは本気ではなかったとも受け取れます。メンバークラスの研修では「上司に一度提案を断られても諦めず、手直しして3回は提案せよ」とレクチャーしています。

では、「提案を諦める」のは、メンバーだけに問題があるのでしょうか? そうとも言い切れません。
上司の対応いかんで、「提案を諦める」「提案を諦めない」が決まることも多いのです。


簡単に提案を諦めさせないために

上司が却下する提案は、次のような傾向があります。
・抽象的で、何をするかが分からない
・「~してほしい」など、単なる要望になっている
・コストや時間を考えると現実的ではない
このような提案を見ると、「何を考えているんだ!こんなの、できるわけないだろう」と一刀両断してしまう上司もいます。
すると、メンバーは「ここまで言われたら、もうだめか…」と諦めてしまう。
しかし、メンバーは市場と一番近いところで仕事をし、日々の仕事で問題意識を感じ、さまざまなアイデアを持っています。最初の提案内容に納得がいかなかっただけで、完全に却下してしまうのはもったいない。

皆さんには、ぜひ単なる却下ではなく、次のような対応をお願いします。

①却下の理由を、具体的に伝える
確かに、抽象的だったり、単なる要望に過ぎなかったりする提案を安易に通すわけにはいきません。しかし、メンバーも「なぜ、却下されたのか」が分からないと、手直しする気が起こりません。

そこで、提案を却下した理由を、明確に伝えてあげてください。「この点がもっと分かりやすければよい」「どれくらい時間がかかるか分かれば考える」など、具体的なコメントがあると、もう一度手直しして提出する意欲が湧くはずです。

②協力者を統介する
一人で考えているがゆえに、提案内容が不十分になっていることもあり得ます。その分野を得意とする人が加われば、一気に良い提案内容になることもあるのです。
そこで、「もし、本気でこの提案を通したいなら、〇〇さんのアドバイスを受けてみたら?」と、さりげなく協力者を紹介することで、提案のクオリティーを高めることも大切です。

提案した行為自体は評価する提案内容が不十分だったとしても、勇気を持って提案をしたこと自体は評価できます。
そこで、「この件について、提案をしてきたことは、ありがたいと思っているよ」など、提案行為は評価してください。
提案することは良い行いだという認識を持てれば、諦めずに、2回目の提案を持っていく行為につながります。


2回目以降の提案に対しての対応

メンバーが、諦めずに2回目以降の提案を持ってきたらどうするか、です。
もし、内容がまだまだ不足しているようでしたら、先ほどの①~②を参考に改めて却下してもよいでしょう。内容が比較的良いようでしたら、その提案に対してどの程度本気なのかを確かめる必要があります。

それには、「内容は良いと思うけど、これは誰が中心になって、いつからやるの?」という質問を投げかけます。
この質問に対して、「はい、私がやります」という答えが返ってきたら、その場で即承認して良いでしょう。
一方で、「えっと…、総務の〇〇さんが…」などと、歯切れの悪い答えが返ってきた場合は、改めて却下です。
却下の理由は、「誰が、いつからやるかが不明確」。つまり、当事者意識がないままに他力本願的な提案になっているという点を、伝えることが必要です。

次の3回目の提案で、提案者自身が当事者となって具体的なスケジュールまで出てきたらぜひ承認してください。

単に提案を却下するのではなく、むしろメンバーの提案に対する気持ちを高め、提案内容の実現を通じて、チーム力を高めましょう。

【メンバーからの提案についてのチェックポイント】
□メンバーが提案しやすい雰囲気をつくっているか
□提案を却下する際には、その理由を具体的に伝えているか
□提案内容が不十分な場合は、協力者を紹介しているか
□提案内容が良い場合は、「誰が、いつからやるか」を聞き、当事者意識を確認しているか

*この記事は株式会社ジェック「行動人」459号より転載・加筆いたしました。

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