組織改革

安心して仕事に取り組めるチームへ

強いチームになる一つの条件として、「チームメンバーが安心して仕事に取り組める」ということが挙げられます。不安が先に立つ環境では、メンバーは仕事に集中できず、イライラやギスギスが募ってチーム内の雰囲気も悪くなります。では、チームを不安に陥れる最大の原因はなんでしょうか? それはもちろん、マネジャーの言動です。


上層部批判で盛り上がる上司と部下

ある日の夜、松尾課長と部下の盛岡さん、福島さんが居酒屋で盛り上がっています。
松尾課長:「いやー、昨日の会議ではおっさんが暴れて大変だったよ」
福島さん:「おっさんて、誰ですか?」
松尾課長:「事業部長に決まってるだろ。あのおっさん、頭に血が上ると怒鳴り散らすんだよ。ピーピーなるやかんにそっくりだよ」
盛岡さん:「アハハ、課長たとえがうまいですね」
松尾課長:「そもそも、今の時代に新規開拓を増やせなんて、おかしな戦略出しやがって」
盛岡さん:「本当に現場は迷惑ですよね。事業部長は人事畑が長いから鈍いですよね」

お酒も入って、会話はますます盛り上がります。仲が良さそうな上司と部下。
しかし、松尾課長のチームは確実に衰退すると言い切れます。

 

安心して仕事に取り組めるチームへ

強いチームになる一つの条件として、「チームメンバーが安心して仕事に取り組める」ということが挙げられます。不安が先に立つ環境では、メンバー一人ひとりが仕事に集中できず、イライラやギスギスが募ってチーム内の雰囲気も悪くなります。
では、チームを不安に陥れる最大の原因はなんでしょうか? 

それは、もちろんマネジャーの言動です。次のような言動を取っていないかぜひチェックしてください。

①会社や上層部を批判するマネジャー

前述のように、メンバーと一緒に上層部を批判しているマネジャーがいます。その場では盛り上がって一致団結しているようにも感じます。

しかし、それは錯覚です。上司から直接上層部の批判を聞き続けると、「この会社は大丈夫なのか?」という不安がメンバーの心に徐々に蓄積され、不安感が増幅します。会社や上層部の批判をメンバーの面前で堂々と言うことは絶対に行ってはいけないことです。

②上層部と仲が悪いマネジャー

前述の松尾課長が、上層部批判のみならず、事業部長と距離を置いていて、「仲が悪い」と見られていてるとさらに部下の不安が増します。
「課長は事業部長と仲が悪そうだ。課長の部下であるわれわれの将来は大丈夫なのだろうか?」と将来に対する不安が生じてしまいます。
上層部と気楽に話す姿を見せることも、メンバーに安心感を与えるポイントです。

③圧力でマネジメントしようとするマネジャー

圧力とは、「私の言うことを聞かないと大変なことになる」という空気を漂わせるということです。最近はパワハラが騒がれていることもあり、「首にするぞ」「飛ばすぞ」といったセリフを言うマネジャーは見かけませんが、態度がそう言っている人はまだまだ多くいます。
少しでも意見を言うと、「ギロッ」と睨んだり、「もうお前には頼まない」などと感情的な態度を取ったりする。このような厄介なタイプのマネジャーの下では、日々気を遣うことになり、安心して仕事に取り組めません。
部下の意見や不満にじっくり耳を傾け、話し合う姿勢を見せることが安心感につながります。

④好き嫌いで人事評価を行うマネジャー

自分のお気に入りのメンバーには良い人事評価を付け、気に入らないメンバーには悪い人事評価を付ける。いくら人事評価のトレーニングをしても、そのようなマネジャーがまだいるのも事実です。
気に入られないと昇格できず給料が増えないとなると、「上司に嫌われないようにする」ことが第一になり、日々の仕事が、気が気ではありません。
メンバーに安心感を与えるために、公正な評価は非常に重要なのです。

「完璧」過ぎるマネジャーも要注意

このような言動を取ってしまうと、安心して仕事ができるチームにはできません。一つでも思い当たったら、すぐに改善したいところです。
ただ、「私は大丈夫、部下から尊敬されているし、仕事のミスもない。全く問題がない」というあなたも要注意。

実は、「完璧過ぎてスキがないマネジャー」も、メンバーに安心感を与えることができないのです。
全くスキがなく、常に「ミスをしないように」振る舞っているマネジャーは、部下が気軽に話し掛けることができません。また、そのような「完璧」なマネジャーの下では、常に緊張を強いられます。
「あれ、せっかく作った企画書、誤字だらけだ」「うわ、スケジュール入れ忘れてた!」などということがたまにあるくらいの方が、常に緊張感を漂わせている完璧なマネジャーよりも話しかけやすいと思いませんか?

なにより、「完璧じゃなくてもいいのか」と肩の力を抜くと、マネジャー自身が安心して仕事に取り組めます。
安心すると心に余裕ができます。余裕をもって仕事に取り組んでいるマネジャーであれば、メンバーも安心して仕事に取り組めるようになると思いませんか?

【安心して仕事に取り組めるチーム作りのためのチェックポイント】
□上層部の批判をしていない
□上層部との関係性は良好であり、周りもそう思っている
□圧力ではなく、話し合いでメンバーを動かしている
□人事評価は公正に行っていると言い切れる
□「完璧」過ぎるマネジャーを演じていない

*この記事は株式会社ジェック「行動人」454号より転載・加筆いたしました。

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