リーダー

現場実践までの道のりは「伴走」が必須

管理者教育を実施している企業は多い。そして、リーダーシップを全く発揮していない管理者はいないだろう。 だが、「学んだことを実践している」かどうかは別だ。学んだことを現場に生かすことなく、従来通りのリーダーシップのスタイルから脱却できない人は多く見られる。なぜ、そうなるのだろうか?


教育責任者の関心事の一つに、
「学んだことをどれだけ現場で実践してもらえるか?」というものは必ず入る。

例えば、一般的な階層別教育で「管理者教育」というと、
・リーダーシップの取り方(座学とロールプレイング)
・計数管理や労働法などの知識と使い方(座学と演習)
・問題解決力
・人事考課
等のものがある。

人事考課は、その時期が来ればやらなければならないこと。
計数管理の知識は数字を扱う以上、これも使わざるを得ない。
労働法やコンプライアンスの知識等は、最低限、守るべきことで、実践せざるを得ない。

問題は、「リーダーシップ」だ。
リーダーシップを全く発揮していない管理者はいないだろう。
だが、「学んだことを実践している」かどうかは別だ。

学んだことを現場に生かすことなく、従来通りのリーダーシップのスタイルから脱却できない人は多く見られる。

なぜ、そうなるのか?
「マネジメント」と「リーダーシップ」を別のものとして分けるとすると、マネジメントは「維持管理機能」で、これさえ発揮していれば、仕事が回らないことはない。

リーダーシップは「変革の機能」。
変化しなくてよいなら、実践する必要はない。ましてや、学んだ新しいタイプの思考で行動しなくても、乗り切れるならその新しい思考で行動する必要はない。
より、効果的だと知っていても、簡単に行動を変えられないのが人間だ。

「組織開発を志向したリーダー養成」という方法がある。
「組織開発の知識と手法を理解したリーダーを養成し、そのリーダーが自ら所属する部署や部門に対して組織開発に取り組む」(中村和彦著,『入門 組織開発』2015,光文社新書,p127)
という方法だ。

リーダーシップを学んだら、その方法を用いて、それをフォローする仕組みもセットにして、組織を変革させていく。
この方法は、GEで行われていたものでもあり有名だが、トップの強い意志がないと続かないこともあり、多くの企業で取り入れられているわけではないと思う。

つまり、トップや上長が成果に向かって伴走するようにならないと、行動変容までたどり着けないのだ。

ほとんどの人は、学んだことをすぐに行動化することはできない。
だから、新入社員には、丁寧に、時間をかけて仕事を教える。
しかし、幹部に対しては、「自分で学ぶもの」と放っておかれることが多い。
例え幹部教育であっても、実践まで丁寧に指導することが、投資対効果においても必要だ。組織開発を通じて、リーダーを養成するのが一番手っ取り早いと思う。

ジェックメールマガジン2021/12/16より

Similar posts