マネジメント

組織の文化

一般社員・中堅社員・管理者と話を聞くと、微妙に食い違いがあることが多い。 例えば、「管理者:現場の意見を吸い上げる仕組みはあり、多くの意見が出ています。」 「一般社員:意見を出す仕組みはありますが、全員が出しているわけではありません。」のように。 組織風土診断で見えたものについて考える。


ある企業で実施した「組織風土診断」のインタビューで、このようなやりとりがあった。

Q:「現場で問題が生じたとき、どのように解決していますか」
A:「何かあったら騒げ、と課長から言われています」
Q:「それは、課員のみなさん、そうなんですか」
A:「はい。ですから、問題があったり、疑問があるときに声を上げると、みんなで解決するようになっています」

同じ課の中堅社員に聞いても、「上司からは、疑問があったら騒げと言われています」との回答だった。

そして、その課長に聞くと、
「若手が、ものを言いにくい環境は良くないと思うんです。ですから、何でもいいから、問題だと思ったら騒げと言っています」と、上から下まで同じことを言う組織だった。

これは、当たり前のように聞こえるが、多くの場合、一般社員・中堅社員・管理者と話を聞くと、微妙に食い違いがあることが多い。

今回のインタビューでも、
管理者 :「現場の意見を吸い上げる仕組みはあり、多くの意見が出ています」
一般社員:「意見を出す仕組みはありますが、全員が出しているわけではありません」

管理者 :「ビジョンや中期目標は、本社から示されそれを伝えています」
一般社員:「数字の目標は知っていますが、ビジョンはわかりません」

といったことがあった。こういう食い違いは、ほとんどの部門で見られる。
多くの場合、管理者は「できている」と答え、一般社員は「できていない」と答える。

この反対になっている組織は極めてまれだ。
これは、アンケートのような定量調査でも、インタビュー調査でも同じ。

つまり、管理者の方がたいていの場合、自組織に対する見方が甘い。
マネジメントをしっかりやっているつもりになっていることが多い。

特に管理型の組織では、手順書や組織運営のルールが細かく決まっており、そこから逸脱した行為ができないようになっている。
結果、やるべきことが多すぎて、心理を配慮して個々人に関わっていくというマネジメントは疎かになっているように見える。

メンバーも、言われていることをやっており、問題があまり生じないなら、上長に関わってもらおうともしない。
結果、業務はうまくいっていても、志が一つになることもなく、潜在的な問題は見えないままになる。

管理者は、より多く個々人に関わる時間をつくること、結果、それが現場の士気を上げ、ミスを減らし、生産性を上げることにつながると心掛けるようにした方がいいということだろう。

 

ジェックメールマガジン2022.5.26より

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