組織改革

計画的なOJTの必要性

在宅勤務も広がる中、新人育成を放任してしまう状態にある企業も多いのではないだろうか。 計画的ではない、見よう見まねでの新人育成という企業が4割以上を占めている、というデータもある。 今の時代の新人育成、定着について考えてみた。


在宅勤務も広がる中、新人育成を放任してしまう状態にある企業も多いのではないだろうか。

先日、知り合いのご子息が会社を辞めた。
テレビCMも流しているような大手人材紹介会社だったが、会社に出勤したのは、一年間で2回のみ(退職手続き含む)。
研修はオンラインで2週間、その後は在宅で家から企業への営業電話を一日100件くらい掛けるのが毎日の仕事だったという。
同期とのつながりもなく、架電のノルマを毎日こなすのみだったようだ。

本人は、「一年は、頑張る」と言って3月まで頑張ったそうだが、もう少し早く辞めても良かった気がする。
そのような育成に力の入っていない企業もあるが、多くの企業では、新人には手厚い現場での育成体制をとっているはずだろう。

厚生労働省の「能力開発基本調査」(令和元年)を見てみた。
「計画的なOJTを実施した事業所は66.2%」で、企業規模(従業員数)が大きくなるほど率は高い傾向にある(1000人以上の企業で85,8%、50人未満では、44/0%)。
これには、新人育成だけではなく、管理者や中堅社員の育成も含めたもので、新入社員に限定すると、56.5%しかない。計画的ではない、見よう見まねでの新人育成という企業が、4割以上を占めるということだ。

これでは、技能継承も新人の定着もあまり望めまい。

先日、指導員研修を実施した企業がある。
この企業では、指導員と新人がセットで数カ月間、動くようになっているのだが、指導を指導員任せにするのではなく、上長、メンバー全員が新人の状況を確認できるように、シートを用意して情報共有を図っていた。
新人は誰にでも質問、相談できる体制に置くことで、偏りのない育成を期待して
いるのだ。

一方で、古い指導体制の企業では、指導員と新人がセットで動くとしても、指導員は徒弟制的に「自分のコピー」をつくろうとする傾向が強いことがある。
そういう企業の指導員は、「自分が教わった通りにしか教えられない」ことが多い。
それが新人に受け入れられるスタイルならまだ良いが、時代環境も変わり、ミスマッチが生じると、早期退職やミスの多発などにつながりかねない。

集団で指導する体制は、それのようなミスマッチもカバーすることができる。

仕事の種類や業界の慣行など様々な要因はあるだろうが、今の時代、集団的指導で多くの先輩諸氏の知恵で育成する方が私は良いと思う。

もちろんそのためには、共通した指導に対する認識や一定以上のスキルを先輩諸氏にも持ってもらう必要がある。
新人教育より、指導員と現場での指導体制をしっかりと構築することの方が新人の育成、定着には、より重要なのだ。

 

*20210622ジェックメールマガジンより

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