今では、CS(顧客満足)という言葉は誰もが知る言葉だが、CSという言葉が日本に「輸入」されたのは、1980年代半ばである。
ただ、当時は、CSというと「お客様に対するマナーの向上」や「お客様の意見を聞く窓口を作ること」などであった。中には、「お客様は神様です、という精神はとうに日本ではやっていた」などという議論もあった。
顧客満足を追求するということは、商売の原点であり、マーケティングの原点でもある。
だからこそ、多くの企業の社是や理念に「顧客第一」というような言葉が入っているのであろう。
これは、CSという言葉が輸入されるよりも前からあったことで、その点で多くの日本の企業は、CSを念頭に経営してきたはずである。
しかし、残念なことに「顧客第一」ではなく、「利益第一」、「企業の論理優先」によって生じる問題を年中、耳にする。
そこには、自覚しないまま顧客第一ではない行動や仕組がありはしないだろうか。
「ちょっとくらい、品質を落としてもばれないだろう」と考えて、品質の悪い素材を混入させたり、「商品説明に時間をかけても仕方ないから、端折ってしまえ」とお客様には十分な説明をしなかったり、「明日になれば、この商品は値引き対象だけど、今日のお客様にそんなことを伝える必要はない」と考えて高値で売ってしまったりはしていないだろうか。
そのような状態に陥る背景には、「お客様は、商品や市場のことを良く知らない」という提供者側のおごりがあるのではないか。
そうではなく、「お客様は賢明である。一時的にだまされることがあっても、やがて正しい判断をするものである」という市場観を持つことが重要だ。
ジェックではこのような市場観を「マーケティングY理論」と言ってきた。
CSを本物にするためにも、マーケティングの成功確率を高めるためにも、その基本に「正しい市場観=マーケティングY理論」を確立しなければならない。
20160803 ジェックメールマガジンより