定着率の向上に関して相談を受けることが多い。
特に、高卒社員の定着率の向上は、該当するほとんどの企業、その中でもサービス業では大きな課題である。
中には、最初から1割程度しか定着しないことを見越して採用している会社もあると聞く。
「新入社員研修」をしっかりやったからといって、それだけで定着率が上がるということはありえない。それを通じて「そうか、こうすれば、自分を生かせるんだ」とか「上司からはきついことを言われるけど、それは成長を期待してのことなのだ」などと、理解したとする。
しかし、配属された後、仕事が思うようにいかなければ「この仕事は自分に向いていない」と思うし、叱られれば「俺はできないんだ、ダメなやつだ」と落ち込む新入社員がほとんどであることが現実である。
サービス業で、比較的新人の定着率の高いお客様を見ていると、「新入社員研修」の実施はもとより、トップ から現場まで、育てる覚悟があることの方が重要だ。
だからこそ、トップは現場まで行って一人一人に話しかけているし、現場管理者も育成に気を配っている。
さらにその他の社員も、自分がきちんと育てられてきたならば、新人を育てようという意識になる。
結果として、部門全体に、育成をする文化が醸成されていくのだ。
色々な制度構築、方法が考えられるが、おそらく核になるのは、トップの強い思いと行動、現場で実際に指導に当たる指導員の行動の二つがこのような組織文化づくりに大きな影響を与えている。
なかでも、 指導員は部門で期待されている優秀な社員を選抜し、その社員をロールモデルとして示し、育成に当たらせることが大切だ。
すると、新入社員のフォロー研修では、多くの新入社員が「指導員のようになりたい」と口をそろえていう。 指導員との絆が強ければそう簡単には離職しない。
一朝一夕に良い組織文化を醸成できるものではないが、いかに質の良い指導員を育てるか、そこが定着率向上の第一歩である。
また、質の良い指導員を輩出するためにも、組織文化の醸成は必要なのである。
20161128 ジェックメールマガジンより