マネジメント

自信の根拠

新しい仕事に取り組むプロジェクト支援で見られることだが、いつまでたっても行動に移せないグループと、行動に移せるグループがある。行動に移せないグループに「とにかく、やってみましょう」と促すだけでは、何も変わらない。


何かを始める際に、それまでにやったことがないことだと、「自信がありません」
という人がいる。逆に「自信がある」という人もいる。

人はやったことがないことに対しては、自信をもってやることができないのが普通
なのだろう。やってもいないのに自信があるというのは、類似行為をやって成功し
たということではないかと思う。
元スポーツ選手がバランスボール状の健康器具にいとも簡単に乗るところをテレビ
で見たことがある。本人も、「できると思います」と言っていたが、体幹が鍛えら
えていることが条件だと思うので、その点で類似行為をやってきたのだろう。

自信とは、前向きな結果を期待する態度である(中略)自信があれば、努力し、
時間とリソースを投資し、目標達成に向けて粘り強く取り組もうという動機が生ま
れる。つまり、成功をもたらすのは自信そのものではなく、投資と努力なのだ」
(『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』,2022年1月号,ダイヤモンド社,p.104)

にわとりと卵ではないが、自信とは、目標に向けての努力とそこに時間を掛けてき
たその結果で得られるものではないだろうか。

新しい仕事に取り組む方向でプロジェクトの支援をしていると、いつまでたっても
行動に移せないグループがあったりする。市場分析や社内のリソースの確認など、
事細かく検討している。
しかし、現場に行かないので、実感情報や相手先の正確な情報は全く得られない。
自分たちの考えた仮説を相手先にぶつけるという、最初の一歩を踏み出す自信がな
いのだ。

逆に動いているところを見ていると、グループの中に対象となる企業や市場に対して、過去に行動を起こしたメンバーがいた。実感情報もあれば、市場の感覚もあるので、動けるのだ。つまり、類似行為をしたことがあるのだ。

動かないグループに「とにかく、やってみましょう」と促すだけでは、何も変わらない。
よく見てみると、過大な目標を立てていたり、他のグループとの連携がなかったり、うまく行かなかったときのプランBがなかったりする。そしてなにより、やる前から、失敗を恐れている。

新しいことに挑戦させる場合、「失敗を許容する雰囲気」が一番大事なのだと思う。
第一歩行動から失敗するかもしれない。例えそうだとしても、その失敗を一歩前進と思わせるマネジメントが必要だろう。
また、類似行為でよいので、できることをまずやってもらう。少しずつ、現実に必要な行動に近づける。
そういうトレーニングの積み重ねこそが自信につながる。

2022/3/10 ジェック通信より転載

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