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試行錯誤の新人育成

withコロナで、行動制限は緩和されつつあります。学生生活の多くをコロナ禍で過ごした新入社員への対応もブラッシュアップする必要があります。あらためて考えたい新入社員育成について、2020年12月のジェック通信よりご紹介します。


8月初旬、ある20人ほどの会社の社長から、「今年の新入社員の顔を見たことがない」と聞いた。
2人の新人なのにである。まったく出社していないわけではない。
マスクをしているので、実際の顔がどうだったか、わからないというのだ。

リモート勤務も多くなり、飲み会も自粛。個人的な話をする機会がほとんどないため、どんな人物かもよくわからない、とこぼしていた。

9月に200店舗ほどの店を構えるある企業の社長を尋ねたときには、「メールチャンピオン」という話を聞いた。
新入社員の間でメールが飛び交い、横の連携ができていたらしい。
プラスの連携なら良いが、残念ながらマイナスの連携だったとのこと。
上長や先輩社員とのコミュニケーションが取れていないが故の現象だと分析されていた。

with コロナの時代、新入社員育成、接点の取り方にも大きな変化が出ているようだ。

オンライン研修は当たり前になった。
今年度、4月から3カ月、オンライン研修のみで出社していない、という会社もあったと聞いた。
基礎的な技術、知識はオンライン研修で身についても、実際の仕事ができるとは思えない。
見よう見まねというのが教育の基本、先輩や上司との共同作業が仕事を覚える本質である。

「シャドウワーク」という育成方法がある。
簡単にいうと「育成対象者が、先輩の仕事の流れをそのまま何度もトレースする」
というものだ。

案件が発生したら、それにどう対応していくのか、商談の準備、企画書作り、見積もり作成や契約書作成、これらの流れの中で発生する稟議などの社内業務、そして、最後の報告書作成まで、仕事の流れに沿って同じ業務を模擬的に経験させる。
書類を作成するときには、同じように新人に書類を作成させ、その書類を先輩社員と比べ、何がどう違うのか、学習させ、次に生かさせるようにする。
もちろん、様々な業務を行うために必要な資料、知識もあるので、それは提供して説明、学習させる。
これで業務は一通り、学ぶことはできる。

案件発生までの過程でも、それもアポの取り方、連絡の方法、商品・サービスの説明の仕方等、全てトレースして学べるようにする。
仕事のやり方を最初から終わりまでとにかく、同じように体験させ、仕事の感覚をもたせるのだ。
やがて必要なスキル、知識を持ったところで、先輩の仕事の一部を代行させる。
徐々に、代行させることを増やし、最終的に一人でできるまでに持っていく。
この方法なら、オンラインでも「見よう見まね」の育成は可能だ。

しかし、どうやら足りないことも多いらしい。
先日、久しぶりに出社したところ、一緒に仕事をしている若手から、資料作成方法についていくつもの質問があった。
同じ空間にいなければ、教えられないこともまだまだたくさんあるようだ。

オンラインとオフライン、両方を活用しながら、どう育成するのか、まだまだ試行錯誤が続く。

2020/12/10 ジェック通信より転載

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