経営者

単純なものほど説明が必要

複雑なもの、難しいものは伝わりにくい。伝えたい内容が伝わるように、様々なツール等を活用して論理的に単純にわかりやすく資料を作成することは有効だが、あまりに単純化するとかえって説明が必要になる。なぜ、その内容であるのかの裏付けや思いが見えなければ、かえって伝わらなくなるからだ。


複雑なものを単純化して表現することは、ビジネスのスキルとしては、重要なものだ。
図式化してみたり、スローガン風にまとめたり、データをグラフ化したりして、分かりやすく説明することで説得力は増す。
難しいものを難しいまま伝えても、なかなか伝わらない。

幸いにして、先人が2軸図やMECE、KPIツリー、5C分析、PEST分析等「ビジネスフレームワーク」というものをまとめてくれており、提案書を作る際にはそれらの技法を使って資料を作成することは多い。
これらの技法を使って、できるだけ論理的に、単純でわかりやすく資料を作成する
ことができる。

しかし、あまりに単純で簡単になっているものに対しては、より詳細に説明をする、質問を受けるということをした方が良い場合が多い。

以前、「ビジョン」に「業績数値目標」を大全面に出している企業を見たことがある。
中計の目標値でもあるまいし、なぜ業績数値目標をビジョンにしていたのかを聞いてみると、「その数値が業界内での認知度を一定以上にする、業界内での地位を間違いなく上げる指標」だったからだ。その背景となる様々な計画もしっかりしていた。

しかし、従業員にはそこまで伝わっていなかった。
結果として、「また、無理をして売り上げを出せ、ということなのか・・」という
あきらめに似た受け止め方をされていた。

ここで、必要なのは、経営幹部による丁寧な説明である。
その数字を達成して、業界内での地位が上がると、従業員本人にどのようなメリットがあるのか、そういうところまで伝える必要がある。

スローガン、ビジョン、コンセプト等が作られた裏には、先に上げたフレームワークで検討された多数のデータや未来予測、意思がある。それらのツールも使いつつ、懇切丁寧に説明してこそ、初めてビジョンは理解される。

これは、経営目標、ビジョンだけではなく、日常の提案等でも同じだと思う。
社内外への様々な提案は、そのどれもが、データを分析し、過去の知見を活かし、思いを込めて作成されているが、どこかで説明が不十分だと理解されない。

説明を受ける側から言えば、「単純なビジョン、スローガンほど、疑え」ということでもある。疑う、質問するスキルも説明するスキルと同時に求められるということだ。

 

2022/1/13ジェックメールマガジンより

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