組織改革

「風を通す」ための努力をする

「うちの職場は風通しが良い」という人がいます。「風通しが良い」とは、気兼ねなく意見を言い合える風土を指すことが多く、特に部下が上司に対して「モノを言いやすい」状況で良く使われます。意見交換が活発になされるチームは、様々な動きが起き、改善が進み、「強いチーム」になることは間違いありません。あなたのチームは風通しが良いですか?


「風通しの良い」チームか?

よく、「うちの職場は風通しが良い」といった言葉を使う人がいます。「風通しが良い」とは、気兼ねなく意見を言い合える風土を指すことが多く、特に部下が上司に対して「モノを言いやすい」状況で良く使われます。意見交換が活発になされるチームは、さまざまな動きが起き、改善が進み、「強いチーム」になることは間違いありません。
では質問です。

あなたのチームは風通しが良いですか?

この質問を、マネジャーが集まる研修ですると、「良い」と答える人が多くいます。しかし、不思議なことに、そのマネジャーの部下の皆さんに全く同じ質問をすると、「悪い」と答える人が多くいることに驚きます。

つまり、上司は「風通しが良い」と思っており、部下は「風通しが悪い」と思っている現象があるということです。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?

本当に「風通しが悪い」のか?

あるマネジャーはこう言います。「私はいつでも聴く耳を持っている。しかし、メンバーが働き掛けてこない。おとなしいメンバーが多いのだ」と。逆にあるメンバーはこう言います。「確かに、マネジャーは話を聞いてくれるタイプだとは思う。でも、みんなも意見を言っていないし…」

そのような会社の会議に伺うと、確かに「シーン」としています。結局その時間を埋めるために、マネジャーが話す。それを繰り返すうちに、マネジャーがほとんど話す、独演会のような会議になっていく。

このような職場はきっと「風通しが悪い」わけではありません。単に「風を通す努力をしていない」だけです。

このような組織こそ「風を通す」努力を

かつて「強烈なトップダウン型のマネジメントが長く続いた」、「話し合う風土が薄かった」などといった歴史のある会社は、モノを言いやすい(つまり、風通しの良い)状況になっても自動的に風は通りません。

上司に意見を言ったら面倒なことになる、提案をしたら自分の責任になるといった恐怖感がブレーキをかけているかもしれません。中には、「余計なことを言うと、人事考課にひびく」などという人もいます。

このような組織こそ、意図的に「風を通す」努力が求められます。

では、どのように風を通すのか? 基本的なステップをご紹介します。

「風を通す」基本4ステップ

ステップ1:「言える」空気(安心感)
まずは、「このチームでは率直に話してもいいのだ」という安心感をメンバー間につくることです。具体的には、「今のチームの問題点」を出し合ってもらうところからスタートするのが基本です。最初は無難な内容しか出ないかもしれません。ボイントは「愚痴」に近いものが出た時。それを一蹴することなく、「もっと具体的に聴かせてほしい」というスタンスでしっかり傾聴します。

もしかしたら、愚痴がエスカレートすることも考えられますが、とにかくじっくり「聴く」ことです。ただし、「そうだよなー、私もそう思うよ」などと、同調をしてはいけません。とにかく、状況を把握したいというスタンスで聴くことが大切です。

ステップ2:「変わる」兆し(期待感)
メンバーの愚痴を含め、意見を遮ることなく聴くことで、「このマネジャーは聴いてくれる」という状況ができてきます。しかし、それだけでは「建設的な意見」が出るようにはなりません。「意見を言うと、いろいろなことが良くなる」と感じてもらうことが必要です。

そこで、愚痴レベルで出てきた内容を、一つだけでも改善する行動を起こすことです。「このマネジャーは、聴くだけでない。意見を言うと良い状況に変わる」と感じると徐々に前向きな意見が出るようになってきます。

ステップ3:「自らやる」状況(当事者意識)
マネジャーだけが改善の努力をしていると、「マネジャーにやってもらう」という依存心が強くなってしまいます。

そこで、意見が徐々に出るようになってきたら「その意見は興味深い。一緒に取り組んでくれないか?」とメンバーを巻き込みます。間違っても「そう思っているなら、お前がやれよ」などと言ってはいけません。「一緒に、良いチームをつくる」というスタンスです。
動きが軌道に乗り始めたら、役割をそのメンバーに任せます。

ステップ4:「うまくいっている」実感(勢いづくり)
メンバーが動き、うまくいった事例はミーティングで共有します。メンバー自身にうまくいった点を発表してもらい、質疑応答を行います。

真面目なチームほど「うまくいっていない点」に意識が集中し、「うまくいった点」は発表する場がありません。しかし、強いチームを作るためには「うまくいっていることを、もっとうまく生かせる」ことの方が大切です。
発表した本人は、「自分で意見を出し、いろいろと動いて良かった」と感じるはずです。

アクティブに風を通せ!

「当たり前」のようで、なかなか難しいステップです。しかし、じっくりとこのステップを意識してチームづくりを行っていくと、徐々に「風が通る」ようになります。

強いチームになるために、アクティブに風を通す努力をする。この動きをして初めてメンバーが「風通しの良い職場」という評価を下すのです。

【風通しが良いチーム作りのためのチェックポイント】
□意図的にメンバーが意見を言いやすい場をつくっているか
□愚痴が出ても、じっくり聞くことができているか
□メンバーから出た意見のいくつかを、実際に実行に移しているか
□メンバーを巻き込み、一緒に職場を改善する動きを起こしているか
□総じて「風を通す」努力をしているか

*この記事は株式会社ジェック「行動人」453号より転載・加筆いたしました。

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