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オンライン商談の苦手意識を克服する

オンライン商談は新型コロナウイルス感染症の流行が終息しても、新たな営業のスタイルとして定着するだろうと予測されている。しかし、一方でオンライン商談に苦手意識があり、オンライン商談に消極的な営業担当がいまだに少なくないのも事実である。オンライン商談を有効活用できる営業とそうでない営業の違いはどこにあるのか。


オンライン商談は新型コロナウイルス感染症の流行が終息しても廃れることなく増え続け、新たな営業のスタイルとして定着するだろうと予測されている。
オンライン商談を活用するお客様が増えているのは、気軽に設定できる・接点がとれやすい(アプローチしやすい)など、対面商談よりも時間的身体的な拘束が軽微なことも理由として挙げられるだろう。そして、オンライン商談を積極的に活用した結果、交通費などの営業コストが削減されて利益率が上がったという話を聞くことも多い。

しかしながら、一方でオンライン商談に苦手意識があり、オンライン商談に消極的な営業担当者がいまだに少なくないのも事実である。
そういった営業担当者は「オンラインは相手の反応がわかり難いんだよ。」「オンラインだと会話のキャッチボールができないんだよね。」「そもそも実際に会わないと、こちらの誠意が伝わらないからなぁ。」などとオンライン商談のデメリットを口にするが、彼らが口にするオンライン商談のデメリットは対面商談と同じことをしようとした場合のやり難さである。つまり、オンライン商談が苦手という営業担当者ほど「オンライン商談は対面商談ができない時の代替手段」と捉えていて、オンライン商談で対面商談と同じことを同じようにしようとしてやり難いと言っているのだ。

しかし、フットサルがサッカーとは別の競技であり、求められるプレースタイルも違うように、オンライン商談も対面商談とは別ものである。したがって、オンライン商談を成功させるためには「オンライン商談は対面商談とは別もの」と捉えて、オンラインならではの特徴を活かして効果を高める工夫をすることがオンライン商談を成功させるカギなのである。

オンライン商談の効果を高めるポイント

例えば、オンラインならではの特徴を活かして効果を高めるためには、以下を意識した工夫が重要だと言われている。
・「空気を温める」よりも「記憶に残す」ことを意図したアプローチ
・「質問し、傾聴する」よりも「見せる、語らせる」ことに軸足を置いたリサーチ
・「説明し、伝える」のではなく「共創する」ことを目的としたプレゼンテーション
・「決定を促す」のではなく「真摯なGive(まずメリットを実感していただこうという働き かけ)」によるクロージング
などである。

*参考→オンライン商談の5つのポイント

ところが、こういったオンライン商談の正しい捉え方や効果を高めるための具体的な方法を示しても営業担当者の行動が変わらないことがある。原因は「現状維持バイアス」である。

 

現状維持バイアスの壁

「現状維持バイアス」とは「たとえ有益であったとしても、知らないことや経験したことがないことを受け入れることに抵抗を感じて、現状維持に固執する心理状態」のことだが、人間はこれが外れない限りなかなか行動が変わらない。
したがって、オンライン商談を定着させ、その効果を高めるためには「現状維持バイアス」を外すことが必須になる。

そして、その方法には「認識から変える」「行動から変える」「環境から変える」の三つがある。

「認識から変える」というのは、必要性や効果、あるいは方法論を伝えて、直接バイアスを外す方法だが、これだけでバイアスを外すのはプロのカウンセラーでも難かしい。
「行動から変える」というのは、行動管理などによって行動習慣を変えることを通じてバイアスを外す方法で、多くのマネジャーがメンバー指導のために行っているものだ。
「環境から変える」というのは、システムの変更などによって行動を変えざるを得ない状況をつくることで、最も効果が出やすい方法でもある。

ここで着目すべきは、これらは全てマネジメントの範疇にあるということだ。
つまり、オンライン商談を定着させ、オンライン商談の効果を高めるためにはマネジャーが営業担当者の行動をオンライン商談に積極的に取り組む方向に変えるマネジメントを機能させることが極めて重要になるということなのである。
 
ともすると、マネジャーはオンライン商談の効果が高まらない原因を「ウチの営業は保守的だから…」「ウチの営業はシステムに弱いから…」などと営業担当者の意識やスキルに求めたりするが、その前に一度、自分は営業担当者の行動をオンライン商談に積極的に取り組む方向でマネジメント機能させているかどうかを検証してみることが大切なのではないだろうか。

 

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