マネジメント

ストレス耐性と生産性

ストレス耐性の高い社員だからといって、必ずしも生産性が高いわけではない。 上長が旧来のやり方を押しつけ、多少の無理を言ってもそれをやり遂げるだけの耐性があるということでしかないケースを目にすることがある。


ストレス耐性の高い社員と、低い社員のどちらを採用したいか、と聞かれれば、
多くの経営者が前者を選択すると思う。
しかし、ストレス耐性の高い社員だからといって、必ずしも生産性が高いわけではない。
上長が旧来のやり方を押しつけ、多少の無理を言ってもそれをやり遂げるだけの
耐性があるということでしかないケースを目にすることがある。

ある不動産会社で、「ひたすら電話を掛け続ける」だけの仕事をしているところを
見たことがある。一日2時間程度、電話タイムが設定されていて、全員で掛けていた。
何件掛けるか、そこからどれくらいの物件情報提供ができたのか、指標は用意されている。

しかし、若手社員の多くの架電が1、2分程度で終わっていることから、なかなか
成果につながっていないことは見て取れた。ベテランはと言うと、よく知っている同業者に電話をしていたようだった。

おそらく、多くの社員が仕方なく電話を掛けているので、仕事を工夫するわけでもなく、生産性という観点からは、進化しないだろうと思った。
「真面目に非効率な方法をやり続けて、数打ちゃ当たるで、成果を出している」だけである。

一方、ストレス耐性がそれほど高くない人が、どうにかそのストレスから逃れようと、色々工夫をするところを目にしたこともある。

電話を100件掛けるかわりに、様々なセミナーに参加し、その場で名刺交換していた人がいる。通常、売り込み姿勢で名刺交換しても、まず、実にならない。
しかし、「情報交換レベル」で接すると、意外とそこから紹介をもらえたり、時間を経て商談につながることがあるようだった。
名刺交換の数ではなく、質を重視した戦略も取っていた。ちょっとしたやり方と姿勢の違いで成果につながることもあるのだ。

また、管理者のストレス耐性が高いと、部下にもストレスフルな仕事を押し付ける可能性が高いのではないだろうか。
管理者本人は、ストレスだと思っていないかもしれない仕事を部下に出してしまうのだ。
最後には、ストレスで部下をつぶしてしまうことになる。

生産性を上げるという観点から工夫することで、ストレスの少ない職場、仕事のやり方を作ることはできるはずだ。
あらゆる人が活きる職場をつくるということでも、この観点は重要だと思う。

2022/9/8ジェック通信より

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