サービスエンジニア

ビジネスパーソンの悩み解決相談室 サービスエンジニア編 お客様と最良のパートナーであり続ける

「お客様に感動を提供する(カスタマーディライトを実現する)ために」シリーズ第3弾です。今回は「お客様との信頼関係を継続する」についてお話しします。良い関係を長く続けていても「マンネリ化」が生じてきます。お客様が求めているのは、世間話が楽しくできる友達ではないのです。信頼関係を継続するための感動を届けましょう!


お客様との信頼関係は、エンジニアにとってかけがえのない宝です。「次回も、Oさんが来てくれるんでしょう?」と指名していただけることが何よりもうれしいという方も多いでしょう。
ただ、この信頼関係も、放っておくといつの間にかギクシャクしていた…、なんてことになりかねません。
そこで今回は、信頼関係を継続していくポイントについて考えてみましょう。

Q:築き上げた関係が崩れています。何とかならないでしょうか?
最近、長年の付き合いがあるお客様との関係が良くない気がします。以前は修理や定期メンテナンスの時に趣味のスポーツについて長話をしていたのですが、このごろ、そんな話をする雰囲気にならないのです。私はお客様の機嫌を損ねるようなことをした覚えはないのですが、このままでは他社ヘリプレースされてしまうのではないかと不安です。
何とか、以前のような関係に戻すことはできないでしょうか?

A:お客様はビジネスパートナーであることを忘れない
今までとても良い関係だったのに相手の反応が悪くなってきているというのは、「自分が何かやってしまったのだろうか」と不安になり、つらい時期だと思います。
今回のご相談の前提を、長年にわたり、継続して機械を利用していただいているの過去には良い関係を築けていた。担当エンジニアに対して苦情のようなことは出ていないとして、解決策を考えていきましょう。

原因をつかむ
まず、「どうしたらよいか」を考える前に「どうしてこうなったのか」を整理しましょう。
前述したご相談の前提から、
①機械に対して不満はない
②担当エンジニアに対して不満はない
ということがわかります。

しかし、以前のような良好な関係を築けていないとなると、「現状に不満はないが満足もしていない」というのがお客様の心理ではないかと推測できます。

そもそも、「不満」や「満足」はお客様の「期待」が元となって生まれます。
サービスが期待より上回っていれば「満足」するし、下回っていれば「不満」を感じるもの。そして、期待通りのサービスはお客様にとって「当たり前」のことで、特に何も感じません。まさに、先ほどの「不満も満足もない」状態です。

お客様からすると、エンジニアの行動が毎回「当たり前」過ぎて、取り立てて反応するものではなくなってしまったのです。
人は、刺激に慣れるものです。以前は新鮮だった関係も、変化がなければ飽きてしまいます。そして飽きてくると、反応も鈍くなる…。いわゆる「マンネリ化」が今回の原因のひとつだったのです。

対策を考える
「マンネリ化」は、決して悪いことではなく、飽きてしまうくらい長く付き合いを続けているという、良い一面でもあり、マンネリ化する前に問題が起きて契約を解消されてしまう事を考えれば、ありがたいことでもあります。
それでもお客様と気まずくなってしまうようなマンネリの関係に陥らないために、またマンネリ化を打開していくためには、お客様の「期待」を超えることをする、つまりお客様に常に新鮮な驚きを与えることが必要です。

お客様の「期待」は、経験によってさらに高度になっていきます。最初はあまりのおいしさに驚いた料理も、何度も食べているうちに当たり前になる(舌が肥える)ように、経験を重ねることで「すごい」が「当たり前」になってしまうのです。
長年の付き合いがあるお客様は、「機械を素早く直す」ことも、「世間話で盛り上がる」ことも、「助言や提案がある」ことも、「このエンジニアなら当たり前」になっていますから、それを超えることが必要になります。

そこで着目したいのは、期待以上の情報提供や提案です。「今日はどんな情報をもらえるかな」と期待しているお客様が、「そんなこともあるのか!」とか、「今回もすごい情報をもらった」と驚くような、期待以上の情報提供をするのです。

なぜ、情報提供提案がマンネリ化の打開につながるのでしょうか。その理由は「私たちはお客様のビジネスパートナーである」からです。
お客様にとって、ビジネスに役立つ情報の提供を受けることは、大変有益で満足度が高まります。

ビジネスにおいてお客様が最も望んでいることは、自社の繁栄であり、生産性が上がったり、歩留まりが良くなったりすることです。だから「今よりもっと良くなる」ような、情報や製品の提供が最も望まれること(期待を超えるうれしいこと)です。
その情報が、思いもよらず自社の繁栄につながることだったら、お客様にとってこんなにうれしい驚きはありません。

長い付き合いになると、お客様をまるで気心が知れた友人のように錯覚することがあります。

しかし、お客様は世間話ができる楽しい友達を求めているわけではありません。もちろん世間話ができるような和やかな関係は必要ですが、いくら世間話を磨いても、お客様の本来の「期待」を超えることはできないのです。

お客様が喜ぶ情報の提供
「定期的にお客様が喜ぶ(驚く)情報提供をしていくこと」が、マンネリ化を防ぐ一つの方法です。

しかし、いくら公開していないマル秘情報を提供しても、お客様の喜びにつながらないこともあります。それは、情報がお客様の状況に合っていないのです。
ですから常にお客様の状況を考えて、提供する情報を選別しなければなりません。お客様の「今の状況に合わせた」、そして「今よりもっと良くなる」情報を定期的に提供するようにしましょう。

お客様から「○○さんの情報はいつも役に立つね」と言われるようになれば、マンネリ化も他社へのリプレースも心配なくなりますね。
常にお客様の繁栄を考えて動くことが、長く最良のパートナーであり続ける秘策です。

弊社「行動人439号」より転載。一部加筆しました。

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