マネジメント

社員を独立させる マネジメント

従業員数15人ほどの会社の社長と一年ぶりに面談する機会があった。 「社員には、ここで学んで、どんどん独立して欲しい。2、3年で独立させることが目標」とかねがねおっしゃっていたが、お会いしていないこの一年でも、3名が独立していた。


従業員数15人ほどの会社の社長と一年ぶりに面談する機会があった。
「社員には、ここで学んで、どんどん独立して欲しい。2、3年で独立させることが目標」とかねがねおっしゃっていたが、お会いしていないこの一年でも、3名が独立していた。

さらに、その会社のHPにはその独立したメンバーへのリンクもある。
「ライバル増やしてどうするの?」と、普通は思う。
このメリットは、社外に自社の仕事を手伝ってくれるメンバーをたくさんつくり、柔軟に業務が進められるようにするということなのだと思う。
また、仲間を増やすことにより、自社の存在価値も上がると考えられていた。

少し変わった観点からこれまでの市場に切り込んでいるので、同じやり方の仲間が全国にいることで、相乗効果が出るということのようだ。
飲食店などでよく見られるフランチャイズのように、屋号を貸し、原材料を卸すなどして、本部の売り上げを立てるわけではない。江戸時代の「のれん分け」のように独立を目標とさせることで、一人一人の成長を促し、同時に同業者を増やすことで、業界を活性化させようという考えだと思う。

早期に独立させるとなると、重要になるのは「教育」だ。
従業員が着実、確実に成長しなければ、のれん分けをしても事業はうまく行かない。
うまくいかなければ「本家」の信用にもかかわる。

そのために、一通りの仕事をできるようにするだけではだめだ。「経営者」としても一人前になるように育成しないといけない。
この会社の社長は、そのために、若くても、一通りの業務を理解した段階で「リーダー」に任命する。数名の部門を任せる。その組織単位の損益計算ができるように組織運営を進めている。

このように、独立させることを目的に置かなくても、「経営者」として一人前にするような教育は、どの会社であっても必要だ。
業務進捗を管理するだけの「管理者」ではなく、「経営者」を育成しなければ、部門を任せることもできない。しかし、「経営者が経営者を育成する」ということを理解している経営者ばかりではない。大企業であれば、黙っていても這い上がってくる人財がいるかもしれないが、中小企業では、難しいこともある。

同族経営会社で血縁者に次世代を任せるとしても、経営者としての育成は必要だ。
私の知るある同族経営の企業では、「新規事業を一つ立ち上げる」ことが社長承継の条件になっていた。これも経営者育成の方法だったのだろう。

経営者以外は、誰も経営者を育成できないということを肝に銘じて、経営者は、「従業員を経営者として育成する」という発想で業務に当たるべきだろう。
日常業務の中で、経営者として成長させることを意識するのだ。
配属、昇格、業務のさせ方等、すべて経営者育成を念頭に見直してみてはどうだろう。

2022/7/7ジェックメールマガジンより

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