サービスエンジニア

パワーアップ実践講座 サービスエンジニア指導編 なぜ、お客様に役立つ提案は、エンジニアの本来業務なのか?

多くの企業がエンジニアにさらなる活躍を期待しています。しかし、「サービスエンジニアは身近で提案しやすい立場にいるのだから、お客様に提案してほしい」と提案活動を指示するだけでは、サービスエンジニアはやる気になるでしょうか? 「会社の方針だから」では、さらにやる気を削ぐだけです。


エンジニアに提案活動をさせる理由
ここ数年「エンジニアに提案活動の能力を身につけさせたい」というご要望に応えて、研修することが増えました。多くの企業が、お客様と身近に接する立場にいるエンジニアに、さらなる活躍を願っているようです。

しかしながら、当のエンジニアからは「営業するためにこの会社に入ったわけではない」「もともと人づき合いが苦手だから機械系に進んだのに、何でこんなことをしなくてはいけないのか」などと反発の声が上がることもしばしばあるようで、なかなかうまくいかないという話を耳にするのも事実です。
リーダーとして、どう対応したらよいでしょうか?



提案活動はエンジニアの本来業務
まず「企業はなぜエンジニアに提案活動を期待するのか」という点について考えます。
よく聞く理由に「エンジニアには、お客様と接する機会があり相談を受けやすい。お客様の近くにいて提案しやすい立場にいるのだから、提案してほしい」というのがあります。
この理由で提案活動を指示されると「よし、やってみよう!」と前向きになるでしょうか?

残念ながら、エンジニアの大半は、前述のように反発心を抱いたり、「やらない言い訳」をしたくなるのです。
なぜなら、いつもの整備や修理などの仕事に追加され、ついでに「提案活動もやってほしい」と聞こえ、「会社都合」を押し付けられている気がしてならないからです。

リーダーとして、エンジニアに提案活動を指示するのであれば、その仕事の意義を伝えなくてはいけません。
「会社の方針だから」「会社が言っているから」では、やる気を削ぐだけです。

まずは、エンジニアが前向きに取り組めるよう「提案活動は本来業務である」ことを、メンバーが納得できるように話す必要があります。



お客様の業務を、機械を通して支援
ではなぜ「提案活動はエンジニアの本来業務である」と言えるのでしょうか?
エンジニアは、機械を「修理」したり「設置」したりします。これらはあくまでも、作業を表現した言葉です。機械を修理した結果、お客様はどのような状況になるでしょうか?
「安定した生産ができる」「品質を維持できる」など、ひと言でいうと「仕事が滞りなくできる」ではないでしょうか?

エンジニアの仕事は、お客様の業務を、機械を通じて支援することです。ならば提案活動は、お客様の業務にどのような現実をもたらすでしょうか?
保守を提案することは「安定稼働による生産の安定やダウンタイムの軽減」を、消耗品の購入備蓄提案は「在庫確保で、発注対応時のタイムロス軽減」を、実現できるのではないでしょうか。

つまり、提案はお客様の業務支援の一つといえるのです。この意義をエンジニアに伝えることが、リーダーにとって必要不可欠となります。
「お客様のお役に立つことを、傍にいるエンジニアが率先して行おう!」と、「人の役に立つ喜び」を伝えることが大切なのです。



お客様に役立つ提案を指導する
しかし、エンジニアのやる気とは別の問題も起きたりします。たとえば、会社から「○○の提案/購入数を上げよう」と具体的に商材などを指定され、それに合わせた提案活動を求められる場合です。
エンジニア本人が前向きになっても、「お客様は○○を必要としていない」「○○を欲しがっていない」といった声がメンバーから上がり、「お客様の役に立たないものを売りたくない」と抗議されたりするのです。
このような場合、リーダーとして取り組むべきは「お客様が欲しがっていないのはなぜか」をメンバーと検討することです。

提案活動の際、エンジニアには「お客様が言ってないことは、イコールお客様が期待してないこと」と、誤解しやすい傾向があります。
エンジニアの基本的な仕事は、機械が「壊れた」「調子が悪い」などマイナス要因の発生時に、お客様から「直してほしい」という明確な要望を受けて対応するスタイルをとっています。

そのため、「お客様は、ご要望をはっきりと言う」「言われてないことは、余計なことになりかねない」という意識が生まれてしまうのです。
でもエンジニアが提案するわけは、お客様がそのメリットに気付いていないから要望が出ない可能性もあるからです。気付かなければ、お客様は「欲しい」とは言わないでしょう。この点をメンバーに気付かせる必要があります。

そして「お客様の業務と照らし合わせ、プロの観点からお客様のメリットを考える。お客様にメリットがあれば、それを伝え説得する」。これこそ「真の提案活動」となります。
リーダーとして、商材を売る指導をするのではなく、何がお客様に役に立つのかを指導してください。


【チェックポイント】
□提案活動の意義を伝えられていますか?
□お客様の業務と商材の関係を、メンバーに考えさせていますか?
□商材を販売する指導だけをしていませんか?
 お客様の役に立つことをイメージさせられていますか?

弊社「行動人459号」より転載。

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●なぜ、お客様に役立つ提案は、エンジニアの本来業務なのか?
●仕事観の切り替えで、メンバーの行動を変える
●受け身体質を改善する
●専門技術と対人能力のバランス
●ファン客創造につなげる苦情対応

 

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