サービスエンジニア

パワーアップ実践講座 サービスエンジニア指導編 専門技術と対人能力のバランス

サービスエンジニアには、専門技術と対人能力の両方が求められます。専門技術も対人能力もバランスよく磨き続けることができるエンジニアと、どちらかに偏りがちなエンジニアの違いはどこにあるのでしょうか? バランスの良いエンジニアに育てるための指導のポイントをご紹介します!


研修では、専門技術と対人能力を活用してお客様をファン客にしていくこと、さらに、専門技術と対人能力の両方を常に高めていこうとする意欲があることが、ファン客を創造し続けるには必要であると、共有しています。

しかし、現場で活躍するエンジニアは、色々な経験をすることで、どちらか一方に偏ることは少なくありません。指導する際も、どちらか一方ばかり力を入れてしまい、気付かないうちに、バランスを崩したメンバーを育成してしまうこともあります。
今回は、バランスを崩さないために、何に注意すべきかを共有してまいります。

 

バランスを整えるコツは「目的」の意識
専門技術と対人能力の両方を活用していこうとする人と、どちらかに偏る人の違いは、それらの能力を高める目的の違いにあります。
バランスの良い人は「お客様に満足・信頼していただくために」技術力と対人能力を磨きます。反面、バランスを崩す人は、技術力を磨くことも、対人能力を磨くことも、その行為そのものが目的になってしまい、「技術力が高まって満足してしまう」、「お客様と仲良くなれた(対人能力が高まった状態)ことで安心してしまう」という特徴があります。

これらは、悪気があってそのような状態になるのではなく、過去の経験が大きく影響しています。過去に、技術的なことで褒められる経験を多くすれば、「技術力が上がれば認められる」と考えるでしょうし、お客様の機嫌を損ねることで手痛い失敗をした場合は、「お客様と仲良くなっていれば安心」という心理になる可能性が高くなります。

つまり、バランスを崩す人は、過去の経験により、目的が「自分がどうなるか」という視点になっており、「お客様」がどう感じるかは視野にないのです。バランスが整っている人は、専門技術を向上することも、対人能力を磨くことも、一つの手段として捉えています。

お客様が満足・信頼するには、一つひとつの仕事で最高の結果を残すことが必要です。そのためには、専門技術は欠かせません。自己満足ではなく、お客様のために、何ができるようになるとよいのかを考えられる人です。

また、時には、お客様を指導する必要も出てきます。安全に使っていただくためには、とても必要なことで、それがお客様の信頼につながります。
ところが、人は指導されることを素直に受け止められないことがあります。そのような時に必要なのが対人能力です。その時どう伝えるのかだけではなく、普段から、どのような関係性を築けているかが重要になります。
何かあった際に、エンジニアの意見を聞きいれていただける関係性であること、その関係性を築くために対人能力が必要となってきます。

このように、バランスを整えている人は、専門技術と対人能力を磨く目的を「お客様」を軸に考えられているのです。


指導では「目的」を忘れない
では、バランスを整えたエンジニアを育成するためには、どうしたら良いのか。
指導の際に「目的」を明確に伝えることです。なぜその能力が必要なのかということを、「お客様」を軸に整理することが望まれます。

例えば、なぜ挨拶の際に「会社名と自分の氏名」を名乗る必要があるのでしょうか?
相手に「どこのだれか」を伝え、不信感を取り除くためにこのような目的があるのであれば、不信感を取り除くためには、どのような挨拶が必要でしょうか? 声のトーンは? 立ち姿は? そのように考えて指導していくことが必要なのです。

技術を高めることは一つの手段であり、その技術は何のために磨くのでしょうか?
指導する側も、しっかりと考えておくことで、目的を持って能力を向上できる人財を育成することができます。


【チェックリスト】
□メンバーは、バランスよく能力を向上させようとしていますか?
□指導の際には、行動だけではなく、目的も共有できていますか?
□リーダー自身が、専門技術と対人能力の両方が必要であることを自覚していますか?

弊社「行動人462号」より転載。

*シリーズまとめ読みはこちらから!*

●なぜ、お客様に役立つ提案は、エンジニアの本来業務なのか?
●仕事観の切り替えで、メンバーの行動を変える
●受け身体質を改善する
●専門技術と対人能力のバランス
●ファン客創造につなげる苦情対応

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