サービスエンジニア

パワーアップ実践講座 サービスエンジニア指導編 受け身体質を改善する

「指示されたことさえしていればよい」という考え方を持った「受け身体質のエンジニア」に対する指導についてご紹介します。一言で「受け身体質」といってもそうなってしまったことにはそれぞれ原因があります。その原因を踏まえて、相応の指導や環境を整えることが必要なのです。


研修内容に、「作業対応受け身型」という指示されたことだけをするエンジニアの行動理論(考え方)と行動傾向を共有する時問があります。
その際、「後輩にこういうタイプがいる場合には、どうしたらよいのか?」と質問されることが増えました。
今回はエンジニアの特徴を踏まえ、どのように指導していくことが必要か考えていきます。


「作業対応受け身型」とは
「作業対応受け身型」は、人間関係に対する関心と専門技術に対する関心が共に低く、「指示されたことさえしていればよい」という行動理論を持ったタイプのエンジニアを指します。

指示を待つタイプなので、進んでお客様との関係性を良くしようと動くこともなく、また、必要以上の技術を身に付けようともしません。何か問題があった際には、「開いていませんので行いませんでした」「そんな指示ありましたか?」などと、「聞いていない」を理由にします。

このタイプは仕事に対して諦めを持っている場合があり、自ら考えることを放棄している状態です。しかし、悪気なくこのタイプになっている人もいます。「指示通りにやっていれば、問題は起きない」という考えを持っている場合で、指示されたことは精一杯行いますが、自ら考える必要性を感じていないタイプです。このタイプを「まじめな怠け者」などと表現することもあります。

 

「作業対応受け身型」が生まれる理由
「作業対応受け身型」が生まれる代表的な理由として、何をしてもうまくいかないことが続いた場合があげられます。技術を向上させても仕事結果に変化がなかったり、周囲に認められないことが続いたり、お客様と良い関係を築こうとしても、異動などの繰り返しで関係性を維持できないなどです。
「結局、やってもやらなくても結果は変わらない」と考えてしまうと、このタイブに陥ってしまう可能性が高まります。

またもう一つの理由に「出来の良い上司の下についた場合」があります。一から十まで指示されることに慣れ、さらに、指示通りに実行することでトラブルを回避することができていると、「この人の言う通りにしていればよい」と考えてしまうのです。このタイプの形成要因は、学生時代までの経験も影響を与えます。学生時代に周囲が過保護にしてしまうと、与えられることが当たり前になってしまい、周囲の意見を待ってしまうのです。どちらにしても考える必要性を感じなくなってしまい、受け身体質が生まれます。



「作業対応受け身型」への指導
原因が分かってくると対策も見えてきます。
まず、「やってもやらなくても結果は変わらない」と考えている場合です。この場合は、行ったことに対する評価をすることが重要です。技術力を高めて良い結果を出せば、それを褒め称えるなどです。

修理スピードが速いことでお客様から感謝されたり、難修理の対応ができたことで感謝されたり、仲間から尊敬されたりすると、誰しも嬉しいものではないでしょうか。そして、「私は技術力で認められる」という自信を持つのではないでしょうか。この自信は、技術の向上を目指す原動力となります。

また、人間関係を良くしようとする意識に関しては、お客様のご要望に応えていくことにより、お客様から信頼されることで自信が生まれます。お客様に頼られる喜びを原動力とするのです。

リーダーとしてこれらができる環境を整えることが必要です。お客様の声を伝えたり、リーダー自ら褒めたりすることです。
この際に注意したいことは、本人がお客様の声など周囲の声を聞き逃している可能性がある点です。本当は認められているにもかかわらず、「どうせ結果は変わらない」というフィルタをかけて相手を見ているので、そのことに気付けていないのです。ですから、リーダーとして周囲の変化をしっかりと伝えることが望まれます。「やった分だけ認められる」という事実を自覚させることで、向上心に火をつけます。

もう一つの原因、「指示通りにやっていれば、問題は起きない」という考え方を持っているタイプに対しては、対応が異なります。
このタイプは、リーダーからの指示が的確過ぎて考える機会を失い、考える能力が伸びにくくなっています。ですから、考える機会を与えることが必要です。
この際の注意点は、すぐに答えを求めない事です。相手は、考えることに慣れていない状態ですので、すぐに答えを出すことができません。反応が悪いことでイライラすることもありますが、磨かれていない能力は、磨き上げられるのを待つことが必要です。少しずつ自ら考え、結果を出せるようになってきたことを認め、新しい成功法則を作り上げていきます。

今まで「指示通りにやっていれば、問題は起きない」という成功法則だったものを「自ら考えて結果を出すことで、より良い結果が得られる」というものに変えるのです。

受け身体質のメンバーを見ると、イライラすることもあります。しかし、そのような行動傾向が生まれた原因を掴み、対応することで、人は成長します。リーダーとして、メンバーの成長を支援してください。

【チェックリスト】
受け身のメンバーを見てイライラしたら、自分に問いかけてみてください!
□メンバーが受け身になった理由を整理していますか?
□メンバーが受け身なことを、「性格のせい」であってどうにもならないと諦めていませんか?
□メンバーが成長することを信じていますか?
□メンバーが変わるために、リーダーとして環境を整えていますか?

弊社「行動人461号」より転載。

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●なぜ、お客様に役立つ提案は、エンジニアの本来業務なのか?
●仕事観の切り替えで、メンバーの行動を変える
●受け身体質を改善する
●専門技術と対人能力のバランス
●ファン客創造につなげる苦情対応

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